STマイクロ、200mmのSiCウエハーを製造:「欠陥を最小限に抑えた」と説明
STMicroelectronics(以下、ST)は2021年7月27日(スイス時間)、次世代パワー半導体の試作用に200mm(8インチ)サイズのSiC(炭化ケイ素)バルクウエハーを自社工場で初めて製造した、と発表した。
STMicroelectronics(以下、ST)は2021年7月27日(スイス時間)、次世代パワー半導体の試作用に200mm(8インチ)サイズのSiC(炭化ケイ素)バルクウエハーを自社工場で初めて製造した、と発表した。
ST初となる200mmサイズのSiCウエハーは、スウェーデンのノルチェピングにある自社工場で製造したもので、「歩留まりに影響を与える欠陥、転位欠陥を最小限に抑えた非常に高品質な200mmSiCウエハーだ」(同社)と説明。同社は、2019年にSiCウエハーメーカーのNorstel(現STMicroelectronics Silicon Carbide)を買収しており、そのSiCインゴット成長技術の優れたノウハウと専門性によって実現した、という。
STでは現在、イタリアとシンガポールの自社工場にある150mmウエハーラインでSiC製品を製造しており、中国、モロッコの後工程拠点で組立とテストを行っている。200mmウエハーは、150mmウエハーと比較して集積回路の製造に必要な面積が約2倍となり、1.8〜1.9倍のチップを製造することが可能となる。
同社は、「今回のマイルストーンは、当社が計画している、より先進的でコスト効率の高い200mmSiC量産への移行の一環だ。この移行は、2024年までにSiC基板の新工場を建設し、SiC基板の40%以上を社内で調達するという当社の継続的な計画の一環として行われるものだ」と述べている。
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