ZETA通信を利用したクラウドタグ向けLSIを開発:Advanced M-FSK変調方式に対応
ソシオネクストと英国ZiFiSenseおよび、テクサーの3社は、ZETA通信規格を利用するクラウドタグ「ZETag」に向けたLSI「SC1330」を開発した。次世代規格「Advanced M-FSK」に対応している。
同一感度で通信速度は3倍、同一通信速度で感度は最大5.3dB改善
ソシオネクストと英国ZiFiSenseおよび、テクサーの3社は2021年10月、ZETA通信規格を利用するクラウドタグ「ZETag」に向けたLSI「SC1330」を開発したと発表した。次世代規格「Advanced M-FSK」に対応している。
ZETAはZiFiSenseが提唱するLPWA(Low Power Wide Area)規格の1つ。新たに開発したAdvanced M-FSK変調方式により、エラー耐性の強化と高い電波利用効率を実現した。例えば、他社のLPWA方式に比べ、同一感度であれば通信速度は3倍となる。通信速度が同じであれば、感度が最大5.3dB改善され、時速120kmで走行する移動体から、距離が3〜5km離れていても伝送することが可能だという。
SC1330は、Advanced M-FSK変調方式に対応する信号処理部と、CPUコアやインタフェース機能を含むデジタル回路などを1チップに集積している。パッケージの外形寸法は4mm角で、2022年に量産を始める予定。
ZETagは、SC1330やアンテナ、電池、ディスクリート部品などをワンパッケージに集積した製品で、ZiFiSenseが供給を行う。ZETagの応用例として荷物のトラッキングなどを挙げた。ZETagを取り付けた荷物を積載したトラックなどが、高速道路のインターチェンジなどに設置されたアクセスポイントを通過すれば、荷物の現在地などを容易に確認することができるという。
ZiFiSenseは、ZETAエコパートナーである中国鉄塔や中国交通通信と連携し、中国全土でZETAネットワークインフラを構築、物流貨物におけるアクティブトレーサビリティの実現に取り組んでいる。SC1330は、こうした物流ネットワークの構築において重要な役割を果たしていくという。なお、ソシオネクストは引き続き、Advanced M-FSKに対応し、双方向通信が可能となるLSIなどの開発も検討している。
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