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「NB-IoT」はどうなっているのか当面は中国がリード

業界では、新しい技術が生み出されると、現実的な予測を大きく超えるような過剰な宣伝が行われる。その典型的な例として挙げられるのが、NB(ナローバンド)‐IoT(モノのインターネット)の誕生と、少なくとも北米や欧州において4G(第4世代移動通信)技術に対する商業的な期待の高まりが沈静化してしまったことに関するストーリーではないだろうか。

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 業界では、新しい技術が生み出されると、現実的な予測を大きく超えるような過剰な宣伝が行われる。その典型的な例として挙げられるのが、NB(ナローバンド)‐IoT(モノのインターネット)の誕生と、少なくとも北米や欧州において4G(第4世代移動通信)技術に対する商業的な期待の高まりが沈静化してしまったことに関するストーリーではないだろうか。

 NB-IoTは、特定のニッチ分野に対応するために開発された技術だ。LTE規格をベースとしたコネクティビティだが、ネットワーク上の静電気センサーを接続するために実装し、長い電池寿命(10年以上)を提供する他、1カ月に1回以下というごくわずかな量のデータ伝送を実行するために必要な、最低限のデータ伝送速度(kビット/秒)を提供する。

 NB-IoTは、通常屋内(または地下)で導入されるIoTセンサー向けとして開発された技術である。ネットワーク上での位置付けを変更する必要がないため、NB-IoT接続を適用する最も有力な候補としては、例えば半永久的に設置された水検出センサーのように、1カ月に1回程度といった少ない頻度でネットワークに接続されるような用途が挙げられる。

 NB-IoT規格は2016〜2018年に、大々的に宣伝された。主にベンダー各社が、息つく暇もなくプレスリリースや記事を発表し、「NB-IoTは、スマートシティーの新しい時代を先導する役割を担う技術だ。通信事業者は、最小限のコストでネットワークをアップグレードすることにより、新技術をサポートすることができる」と主張した。

 世界各国のMNO(Mobile Network Operator)がNB-IoTを導入したが、少なくとも北米や欧州、アジアの大半の国々では、期待されていたような「スマートシティー関連のセンサー導入の爆発的な増加」は起こらなかった。NTTドコモに至っては、2020年3月にプレスリリースを発表し、経営資源を集中させるためとして、NB-IoTによるサービスを終了することを明らかにしている。

 その逆の例が中国だ。中国では今のところ、他の国々と比べてNB-IoT規格が劇的な成功を収めている。市場調査会社Counterpoint Researchによると、中国の2019年末の時点におけるNB-IoT接続は、累計で約9500万だったという。

 ABI ResearchのアナリストであるAdarsh Krishnan氏は、米国EE Timesとの電子メールのやりとりの中で、「全世界のNB-IoT接続数全体のうち、中国が占める割合は92%を上回る。つまりNB-IoTは、中国以外の国には実在しないと言っても過言ではない」と述べている。

 NB-IoTが中国で成功を収めた背景には、政府による大きなサポートの存在がある。SigfoxやLoRaなどの他のLPWAN(Low Power Wireless Area Network)技術は、最近になってようやく大規模な国で軌道に乗り始めたところだ。

 IoT接続の多くは、旧世代のセルラーネットワークを利用している。2G/3G(第2/第3世代移動通信)ネットワークの終了は、NB-IoTの導入にプラスの影響を与えるのだろうか。

 Krishnan氏は「プラスの影響を与えるが、それは地域によるだろう」と述べる。「例えば米国では、既存の2G、3Gを利用したIoT接続は、NB-IoTよりもLTE-Mへと移行するだろう。一方で欧州ではNB-IoTの導入が(他の地域に比べると)増えそうだ」(同氏)

 同氏はまた「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックもNB-IoTの導入に影響を与えている」と指摘する。「接続技術としては、NB-IoTは比較的新しいものだ。加えて、市場の先行きが不透明なことや、COVID-19によるサプライチェーンの破壊により、中国以外の国/地域では導入のペースが予想よりも下回る」(Krishnan氏)

将来性はあるが、欧米での大規模普及は難しい

 ほとんどの国や地域でNB-IoTの大規模な商用契約が行われていないにもかかわらず、3GPPの「Release 17」のmMTC(massive Machine Type Communications)仕様にNB-IoT技術が組み込まれていることから、この技術の将来性は保証されている。Release 17はことし(2021年)の6月に策定が完了する予定で、その9カ月から1年後には、商用チップやデバイスが市場に登場すると予想されている。

 NB-IoTの4Gバージョンと5Gバージョンの大きな違いは、各セルでサポートされるIoTセンサーの数にある。NB-IoTが現在4Gネットワークでサポートできるセンサーの数が合計6万680個であるのに対し、5Gでは1km2当たり100万個のセンサーまたはデバイスをサポート可能だ。

 米国や欧州では、政府、産業界、MNOの関係が複雑なため、大規模なセンサーの導入が本格化する可能性は低い。NB-IoTは、世界の多くの地域で、実用的ではない技術となる可能性は高い。NB-IoTをけん引するのは、当面の間中国となりそうだ。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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