「コロナワクチン接種拒否」に寄り添うための7つの質問:世界を「数字」で回してみよう(68)番外編(2/14 ページ)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンについて、必要回数のワクチン接種が完了した割合が70%を超えた日本。今回は、テーマをこれまでとは180度転換し、「コロナのワクチン接種を拒否することが、理論的か否か」について語ってみたいと思います。ワクチン接種を拒否する人も、肯定する人も、お互いの立場に立って、ワクチン接種について考えてみたいのです。今回もおなじみ、“轢断のシバタ先生”が、超大作の「シバタレポート」を執筆してくださいました。
とてもよく理解できる「政府やマスコミへの不信」
こんにちは、江端智一です。今回の前半は、最近のコロナワクチンに関して流布されている情報に関する江端の分析を解説します。
そして、後半では「轢断のシバタ医師」が「新型コロナワクチン接種を拒否するに足る説得力のある論理的説明」を試みた、1万4000文字に上るシバタレポートを開示します。
今回のコラムの目的は、ワクチン接種の肯定、または否定の、いずれかを支持するものではありません。「分かり合えないことを、分かり合う*)」ための、「壁」を低くできればそれで良いのです。
新型コロナウイルス戦争の最終フェーズ ―― 『「"信じる"を信じない」と「"信じない"を信じる」を、どうやってブリッジするか』 ―― に対する挑戦であり、お互いを罵り合うのではなく、『なるほど、そう考えているなら仕方ないね』と、お互いが苦笑いして共存できる世界へのアプローチです。
まず、私は、私の読者の方の協力を得て、ワクチンを拒否している人のSNSのメッセージの調査収集から始めてみました(これについては後述します)が、基本的には、「(1)政府の言っている"安全"を信用ができない」という根深い不信と、「(2)それを裏付ける事例がたくさんある*)」という第三者のメッセージによって支えられているということが分かりました。
*)この『事例がたくさんある』については後述します。
はっきり言って ―― 私は、上記(1)については、とても良く理解できます。
以下の表は、自分の勝手な思い込みから始まった、江端個人の政府不信の経歴(黒歴史)です。
私は、オウム真理教事件は、政府の陰謀だと信じ込んでいましたが、その後の調査(資料や、裁判記録)を経て、100%私の思い込みによる誤解だったことが分かりました。
また、「人民の為の革命」を主張する自称革命組織のほとんどが、「革命のためであれば、民間の犠牲を前提としても構わない」ということを知って、―― その民間人の中には、私も入っているのか?―― と自問して、初めて目が覚めたくらいです。
そして、今でも恥ずかしくてしょうがないのですが、「日本の原発ではメルトダウンなんか起きる訳がない」と、無意識に思い込んでいたことです(いわゆる「原発神話」)。この事実は、エンジニアとしては、恥ずかしさで床の上を転げ回りたくなるくらいの漆黒の黒歴史です。
しかし、実際に、政府や企業は、実際に国民に「信用できない」と思わせるようなことを、たくさんやってきています。基本的にこれらは「ウソをついて、それを黙っていて、後でバレる」ということで発現します ―― ということは、「バレていないものがたくさんある」ということです。
そもそも、日本史における近代史(特に太平洋戦争あたり)は「いかに、政府がウソをつきつづけてきたか」を教える内容になっています ――「政府不信」をきっちり国民に教える教育は、それはそれで良いことだと思っていますが。
薬害エイズ事件の「郡司ファイル」の隠蔽で責任逃れに終始した厚生省、東海村JCO臨界事故では、臨界の放射能の中に住民を放置し続けた株式会社ジェー・シー・オー、地方自治体、そして、福島原発でのSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の情報隠蔽をした政府。
たとえ『パニックを防止』するという理由があったとしても、私は納得できません。政府の対応は、結果としてパニックを防止するという観点で正しかったとしても、私なら、パニックから発生した暴動で殺されるとしても、『本当のこと』を知って死ぬ方がいい。
そして、マスコミも、客観的な(数値や統計)情報を示さずに、感情的に視聴者を煽って、多くの人を殺しています。例えば、年間3000人のがん死亡者を生み出して、今なおそれを放置しています。
この話については「「コロナワクチン」接種の前に、あの医師が伝えておきたい7つの本音」で詳細に記載していますので、割愛します。
本件に関して、マスコミが自己批判をしたという話は、私は寡聞にして知りません。それどころか、昔の所業を忘れて、今さらながら、子宮頸がんワクチン接種の支援の姿勢を見せるという、ふてぶてしさです。
まとめます。
政府/企業/マスコミを信用することで酷い目に遭わされてきた(殺されてきた)という実例は、腐るほどある
は、間違っていないのです。
ですので、
コロナ対策に関してだけは、政府やマスコミを信じろってか? 無茶言うなよ ――
これは筋が通っています。
政府であれば、安全性のデータを改ざんもできるでしょうし、危険を示すデータの隠蔽もできるでしょう(上述のように、過去に輝かしい実績あり)。
難しい医学用語を駆使する医師(例 シバタ医師)や、それに乗ってうまいこと数字や統計を使って大衆をだます記事を執筆する三文ライター(例:江端)を抱き込む*)ことも、難しくないでしょう。
*)政府機関の皆さま、お仕事お待ちしております(江端)。
そして質(たち)の悪いことに、政府も企業もマスコミも、ほとんどの情報は正しいのです。問題は、この正しいの中に、こそっとウソが入ってくることなのです。こういう微妙で巧妙なウソに対して、多くの民衆は対抗する手段がありません。
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