日本電子、操作性を高めた走査電子顕微鏡を発売:繰り返し作業を装置に「おまかせ」
日本電子は、毎日繰り返し行う作業を装置が自動で行う機能を備えるなど、操作性を高めた走査電子顕微鏡「JSM-IT510」シリーズを開発、販売を始めた。
「Simple SEM」や「Live3D」などの新機能を搭載
日本電子は2021年11月、毎日繰り返し行う作業を装置が自動で行う機能を備えるなど、操作性を高めた走査電子顕微鏡「JSM-IT510」シリーズを開発、販売を始めた。
JSM-IT510シリーズは、必要なデータを迅速かつ容易に取得できるよう、新たな機能を搭載した。その1つが「Simple SEM機能」である。SEM像の「取得条件」を設定し「観察したい視野」を選択しておけば、あとは装置が自動的に撮影してSEM像を取得できる。これまでマニュアルで繰り返し行ってきたSEM観察の作業を、効率よく行うことが可能になる。
もう1つは、低真空ハイブリッド二次電子検出器(LHSED)を新たに開発し搭載したことである。残留ガス分子に二次電子が衝突した際に発生する「電子」と「励起光」を検出することで、低真空下においても詳細な凹凸情報を得ることができようになった。
「Live3D」や「ステージナビゲーションシステムLS」といった新機能も追加した。Live3D機能により、SEM観察をしながらその場で3D画像をライブ表示することができるため、凹凸や深さの情報を得ることが可能である。ステージナビゲーションシステムLS機能は、光学像をクリックするだけで、目的の観察視野へ移動が可能となる機能。従来機種に比べ4倍という広い領域(200×200mm)の光学像を取得することができるという。
この他、観察中でも常に特性X線スペクトルや元素マップを表示させる「Live Analysis/Live Map機能」や、複数の試料をホルダーにセットした場合などに視野探しが容易となる「Zeromag機能」、取得データを一元管理できる「SMILE VIEW Lab機能」などを搭載している。
本体標準価格は2200万円から。1年間に200台の販売を計画している。
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