富岳、機械学習処理能力でも世界1位を獲得:約半分の規模で、他システムの1.77倍
理化学研究所と富士通は2021年11月18日、スーパーコンピュータ「富岳」が機械学習処理ベンチマーク「MLPerf HPC」の1つで世界第1位を獲得したと発表した。MLPerf HPCは、単位時間あたりに深層学習モデルをいくつ学習できるか(スループット性能)を測定するもので、今回、富岳の約半分の規模を用いて計測した結果、他システムの性能と比較し約1.77倍の処理速度を達成したという。
理化学研究所と富士通は2021年11月18日、スーパーコンピュータ「富岳」が機械学習処理ベンチマーク「MLPerf HPC」の1つで世界第1位を獲得したと発表した。MLPerf HPCは、単位時間あたりに深層学習モデルをいくつ学習できるか(スループット性能)を測定するもので、今回、富岳の約半分の規模を用いて計測した結果、他システムの性能と比較し約1.77倍の処理速度を達成したという。
今回の結果は、現在開催中のHPC(高性能コンピューティング)に関する国際学会「SC21」において2021年11月17日付(現地時間)で「MLPerf HPC v1.0」として発表された。
MLPerf HPCは、宇宙空間に分布する暗黒物質の3次元シミュレーション結果から、宇宙論的パラメーターを予測する深層学習モデル「CosmoFlow」と、地球規模の気候予測シミュレーションデータから、異常気象現象を特定する深層学習モデル「DeepCAM」、原子/分子間反応のシミュレーションデータから、触媒表面での分子の緩和エネルギーを推定する深層学習モデル「Open Catalyst」の3つのベンチマークプログラムのそれぞれにおいて性能を競うもの。
富岳運用中、半分の規模で達成
理研と富士通によると、今回、富岳はこのうちCosmoFlowで、複数の深層学習モデルを一定の予測精度まで学習させ、はじめに学習を開始したモデルの開始時刻から最後に学習を終えたモデルの終了時刻までを計測しスループット性能を評価。富岳の並列処理性能をさらに引き出すため、複数の学習モデルを並行して処理する際に発生するCPU同士の通信の相互干渉を減らし、さらに、CPUとストレージ間でのデータの通信量を最適化するソフトウェア技術を適用した結果、深層学習モデルを8時間16分で637個、1分当たり約1.29個を学習したという。
同結果は、CosmoFlowの同カテゴリーに登録した全システムの計測値の中で最も高く、他システムと比較し約1.77倍の性能差を達成したとしている。なお、同結果は富岳の運用中に行ったため、富岳を利用している他の研究への影響を考慮し、計測規模を半分とした上でのものだという。理研と富士通は、今後、今回の計測にあたり開発した大規模機械学習処理を高速化するライブラリやAI(人工知能)フレームワークといったソフトウェアスタックを一般公開する予定だ。
なお、理研と富士通は2021年11月16日、富岳が世界のスパコン関連ランキング「TOP500」「HPCG(High Performance Conjugate Gradient)」「HPL-AI」「Graph500」の全ベンチマークにおいて第1位を獲得し、4期連続で4冠を達成したことも発表している。
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