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東芝のHDD事業、四半期業績が急速に回復中福田昭のストレージ通信(206)

今回は、東芝のHDD事業の業績を取り上げる。2021会計年度第2四半期(2021年7月〜9月期)の業績を中心に紹介する。

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2009年に富士通HDD事業を買収したことで総合HDDベンダーに

 ハードディスク装置(HDD)の開発・製造企業が3社に寡占化していることは、ストレージ業界では良く知られている。3社とはSeagate Technology(以降はSeagateと表記)とWestern Digital(以降はWDと表記)、東芝のことだ。3社の市場占有率はおおよそ以下のようになる。Seagateが40〜45%、WDが35〜40%、東芝が15〜25%である。

 東芝のHDD製品はクライアント向け、コンシューマー向け、エンタープライズ向け、クラウド向けと幅広い。そして2.5インチ型HDDと3.5インチ型HDDの両方を扱う。

 東芝のHDD事業が現在のような形になったのは、2009年に富士通のHDD事業を買収してからだ。買収前は東芝の主力HDD製品はクライアント/コンシューマー向けであり、エンタープライズ向けは扱っていなかった。一方、富士通の主力HDD製品はエンタープライズ向けである。東芝は富士通のHDD事業を買収したことで、総合HDDベンダーとなることができた。そして3番手ながらも、HDD大手3社の一角を占めている。


富士通のHDD事業を東芝が取得することで両社が基本合意したことを告げるリリース(2009年2月17日付)[クリックで拡大] 出所:富士通(クリックで拡大)

4月〜9月期のHDD売上高は前年同期比で47%増に

 東芝は、事業分野(東芝は「ソリューション」と呼称)別に企業を有しており、HDD事業は「デバイス&ストレージソリューション」に属する。事業担当企業は「東芝デバイス&ストレージ株式会社」である。

 デバイス&ストレージソリューションは、大きく2つの事業に分かれている。1つは半導体事業、もう1つがHDD事業(一部に部品材料、メモリ転売を含む)である。2020会計年度(2021年3月期)の売上高は半導体事業が3133億円、HDD事業が3980億円となっている。


デバイス&ストレージソリューション事業の2020会計年度(2021年3月期)業績概要[クリックで拡大] 出所:東芝(2021年5月14日に開催された決算説明会のスライドから)

 東芝は2021年11月12日に、2021会計年度第2四半期(2021年7月〜9月期)の決算説明会を開催した。東芝は累計期間ベースで四半期の業績を公表しており、「第2四半期(2021年7月〜9月期)」とは実際には「上半期(2021年4月〜9月期)」を意味する。

 2021会計年度上半期(2021年4月〜9月期)のHDD事業は売上高が前年同期比47%増の2595億円である。海外生産拠点の稼働率が回復したことと、データセンター向け大容量品の販売増が、売り上げを押し上げた。営業利益は120億円で、前年同期の5億円から大幅に増加した。


デバイス&ストレージソリューション事業の2021会計年度上半期(2021年4月〜9月期)業績概要[クリックで拡大] 出所:東芝(2021年11月12日に開催された決算説明会のスライドから)

 またさかのぼると、2021会計年度第1四半期(2021年4月〜6月期)のHDD事業は売上高が前年同期比89%増の1226億円、2020会計年度第4四半期(2021年1月〜3月期)のHDD事業は売上高が前年同期比37%増の1052億円となっており、売上高が急速に回復していることが分かる。ちなみに単純計算(上半期から第1四半期を差し引いたもの)による2021会計年度第2四半期(2021年7月〜9月期)の売上高は、前年同期比22%増の1369億円である。


東芝HDD事業の四半期業績推移(2017年6月期〜2021年9月期)。東芝の四半期業績説明資料から筆者がまとめたもの

 売上高は4四半期連続で前年同期を上回り、2四半期連続で前の四半期から増加した。回復基調が鮮明になりつつある。

次回に続く

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