Mobileyeが2022年に上場へ、Intelが車載に本腰:「EyeQ」で高いシェア
Intelは、自動運転事業部門のMobileyeをスピンオフし、2022年のどこかのタイミングで上場する計画だ。複数のアナリストによると、MobileyeのIPO(新規株式公開)により、Intelは車載用チップの領域にさらに投資できるようになるという。
Intelは、自動運転事業部門のMobileyeをスピンオフし、2022年のどこかのタイミングで上場する計画だ。複数のアナリストによると、MobileyeのIPO(新規株式公開)により、Intelは車載用チップの領域にさらに投資できるようになるという。
Intelは、2021年第3四半期に前年同期比39%増となる3億2600万米ドルの純利益を挙げた。この成長がIntelをMobileyeの上場に駆り立てたのは明らかだ。
Wall Street Journalによると、MobileyeのIPO評価は500億米ドル超に達する可能性があるという。IntelはMobileyeの所有権の過半数を維持する計画だ。MobileyeのIPOの意向が報道されたことで、Intelの株式は2021年12月7日に7.9%上昇した。1日の伸びとしては2021年1月以降で最高となる。
Intelは2017年に150億米ドルでMobileyeを買収した。それ以降、Mobileyeの業績は右肩上がりで成長してきた。MobileyeのSoC(System on Chip)「EyeQ」の出荷個数は1億個に達していて、複数の都市で自動運転車のテストプログラムを拡張している。Intelによると、Mobileyeは商用ロボタクシーも披露した一方、ADAS(先進運転支援システム)プログラムのデザインウィンを新たに41件獲得したという。
Guidehouse Insightsによれば、現在、ADASの世界市場におけるMobileyeのシェアは約80%だという。自動車メーカーが、物体検出機能の高度化を進める中、「CES 2021」で初めて披露されたMobileyeのLiDAR SoCに対する関心も高まっている。同SoCはフォトニック集積回路(Photonic IC/PIC)と呼ばれるもので、完成品の登場は2025年以降とみられる。距離の限界や干渉といった課題を解決するという。
Intelのフォトニクス関連のラボは、MobileyeのLiDAR SoCの開発を支援している。MobileyeのCEOであるAmnon Shashua氏は「Intelの支援と当社のアプローチによって、Mobileyeが前例のない方法で成長できるだろう」と主張した。
Intelがシリコンフォトニクスの生産に取り組むのはこれが初めてではない。同社のフォトニクス関連のラボは現在、イーサネットの規格である「200G-FR4」「400G-FR4」に対応した光トランシーバーの生産を立ち上げている。
Intelは、スピンオフを発表する中で「当社の自動車市場に対する長期的なコミットメントは、『Intel Foundry Services Accelerator』や自動車業界に特化した生産能力など、最近発表されたプログラムによって明確に示された」と述べた。なお、Intel Foundry Services Acceleratorは、自動車設計を最先端ノードへと移行するファウンドリー事業の顧客向けのプログラムである。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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