MicrosoftとQualcomm、米国防総省のチップ設計に参加:安全なサプライチェーンを目指す
MicrosoftとQualcomm Technologiesは、技術サプライチェーンを確保するとともに、米国のマイクロエレクトロニクスの技術力を強化することを目的とした、米国防総省のチッププロジェクトの第2フェーズを主導することになった。
MicrosoftとQualcomm Technologiesは、技術サプライチェーンを確保するとともに、米国のマイクロエレクトロニクスの技術力を強化することを目的とした、米国防総省のチッププロジェクトの第2フェーズを主導することになった。
両社は、国防総省の「RAMP(Rapid Assured Microelectronics Prototypes)」プロジェクトの下、2020年に開始された初期開発を担当した。第1フェーズでは、IBMがMicrosoftのパートナーだった。
この2億米ドルのチッププロジェクトは、主にアジアのサプライヤーに長年依存していた米国が、マイクロエレクトロニクスの産業基盤を強化することを目指して策定された。RAMPは、回路設計とセキュアな製造を重視している。IBMとMicrosoftは2020年に、物理的なバックエンドIC設計のセキュリティ強化に向けた第1フェーズの2450万米ドルの契約を獲得した。
テクノロジーカンパニーのM&AなどをサポートするNational Security Technology Accelerator(NSTXL)の担当者は、第2フェーズの契約の発注にあたり、「次のマイルストーンは、先進のプロセス技術を適用した設計および検証可能なSoC(System on Chip)など、22nmプロセスノード以下のチップ設計を実証することである」と述べている。
RAMPが設計において特に重視しているのは、配置配線や設計検証といったRTL(レジスタ転送レベル)の後の設計ステップである。設計目標として、消費電力の削減、性能および信頼性の向上、物理サイズの縮小などを挙げている。
プログラムの関係者によると、RAMPは、チップパッケージングや放射線硬化回路設計には直接は取り組んでいないという。
Microsoftは、Ansys、Applied Materials、BAE Systems、Battelle Memorial Institute、Cadence Design Systems、Cliosoft、Flex Logix、GlobalFoundries、Intel Federal、Raytheon Intelligence and Space、Siemens EDA、Synopsys、Tortuga Logic、Zero ASICが参加するチームを率いることになる。
Microsoftはブログ記事の中で、「完成したIC開発プラットフォームは米国政府機関向けの『Azure Government』クラウド上で運用する」と発表した。MicrosoftのTom Keane氏は、「クラウドベースのセキュアな設計機能を活用することで、RAMPは国防総省が利用できるファウンドリー数を拡大し、レジリエンスを高め、国内の半導体サプライチェーンの成長を促進する」と付け加えている。
このセキュアなクラウドサービスには、機械学習などAI(人工知能)の自動化ツールの他、兵器もしくは商用IoT(モノのインターネット)プラットフォームのいずれかに使用されるデュアルユースデバイスなどのセキュリティを確保するための指標である「定量化保証」が含まれる。チームメンバーで、米国防総省の最高研究機関に組み込みFPGA技術をライセンス提供しているFlex Logicは、「セキュリティと定量化保証を強化するために、RAMPイニシアチブに当社のリコンフィギュラブル技術を提供している」と述べている。
IC設計および製造フレームワークは、「安全なデバイスはない」、つまり「ゼロトラスト」を前提とし、「全てのマイクロエレクトロニクスコンポーネントは展開前に検証しなければならない」としている。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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