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米議員、半導体強化に向けた2つ目の法案を提出CHIPS for America Actに続き

2020年6月25日(米国時間)、米国の上院議員から成るグループが、国内の半導体産業を復興させるための法案をさらにもう一つ提出した。

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CHIPS for America Actに続き2つ目の法案を提出

 2020年6月25日(米国時間)、米国の上院議員から成るグループが、国内の半導体産業を復興させるための法案をさらにもう一つ提出した。


画像はイメージです

 この、超党派による新たな法案「American Foundries Act of 2020 (AFA)」は、このような法案としては今月で2つ目となる。2020年6月10日には「CHIPS(Creating Helpful Incentives to Produce Semiconductors) for America Act(以下、CHIPS)」が提出されている。

 現在、世界の半導体生産の大半はアジアにシフトしている。そうした状況を受けて、これら2つの法案では、エレクトロニクスのサプライチェーンをローカライズし、米国内の半導体産業を再構築するための米国政府による取り組みが強調されている。

 AFAでは、米国の各州に対し、商業的な半導体製造施設の拡大を促すための助成金を提供する。一方のCHIPSは、米国国防総省をはじめとする政府機関によるプロジェクトへの資金提供を主とした法案である。各法案での資金提供額はAFAがおよそ250億米ドル、CHIPSがおよそ120億米ドルとなる。

 トランプ政権の積極的な誘致があり、TSMCが120億米ドルを投じて、米国アリゾナ州に5nm工場を建設することとなったが、AFAとCHIPSは、これに続く取り組みである。米商務長官であるWilbur Ross氏は、2020年5月14日付の発表資料で、「TSMCが120億米ドルを投じてアリゾナ州に半導体工場を建設するという計画は、トランプ大統領の政策アジェンダによって米国の製造業が復活し、世界中で最も魅力的な投資対象国になったということを示す一つの兆候だといえる。アリゾナ工場建設計画は、TSMCとアリゾナ州知事や関係スタッフ、政府との間で、長年にわたり密接に協業してきた成果である」と述べている。

 米上院議員のJim Risch氏(アイダホ州選出の共和党員)は、2020年6月26日のプレス発表資料で、「半導体産業は米国で始まったが、アジア、特に中国が半導体製造に多大な投資を行う中、米国は製造で後れを取る危険性がある」と主張している。同発表資料には、「最先端の半導体製造能力の78%をアジアが占めている」とある。

 Risch議員は「中国共産党は依然として盗難と抑圧を通じて、他の国々のマイクロエレクトロニクス産業を支配しようとしている。従って、米国国内における半導体生産の強化と戦略的な競争力の維持に、速やかに取り組むことが重要である」と述べた。

 AFAでは、中国政府が所有もしくは管理する企業、または中国政府によって影響される企業が、同法案に基づき提供される資金を入手することを一切禁止するという。

 AFAの他の発起人は、Tom Cotton氏(アラスカ州選出、共和党)、Chuck Schumer氏(ニューヨーク州選出、民主党)、Josh Hawley氏(ミズーリ州選出、共和党)、Jack Reed氏(ロードアイランド州選出、民主党)、Kirsten Gillibrand氏(ニューヨーク州選出、民主党)、Susan Collins氏(メーン州選出、共和党)、Angus King氏(メーン州選出、無所属)、Doug Jones氏(アラバマ州選出、民主党)である。

 Gillibrand氏はプレス発表資料の中で、「米国は現在、経済危機にさらされている。半導体/マイクロエレクトロニクス産業に投資することで、米国人のために、高賃金の雇用機会を創出できるだろう。加えて、AFAは、エレクトロニクスの国内サプライチェーンを強化し、米国企業の優先度を上げることにもつながる」との見解を述べている。

 AFAは米商務省に対して、150億米ドルの資金を提供する権限を与えることにより、州政府が、半導体工場の他、アセンブリやテスト、最先端パッケージング、最先端の研究開発を行う関連施設の建設や拡張、近代化をサポートできるようにするという。

 またAFAは、米国防総省にも50億米ドルの資金提供を行うことができる権限を付与し、防衛/諜報活動向けに特化した安全性の高い半導体チップを製造することが可能な、複数の工場や研究開発施設の建設や拡張、近代化を支援していく。発表資料によると、これらの資金は、安全性の高いマイクロエレクトロニクス製品の製造が可能な施設に提供される見込みだという。

 さらにAFAは、マイクロエレクトロニクス市場に置ける米国のリーダーシップを確保するための研究開発資金として、50億米ドルを提供する。この資金提供を受ける政府機関は、その資金をベースとした研究開発によって実現される全ての知的財産を、可能な限り最大限国内で生産することを求める政策の策定が義務付けられるという。国防総省国防高等研究事業局(DARPA)が、20億米ドルの資金提供を受けるとみられている。

 一方のCHIPSは、国防総省が現在進めているエレクトロニクス市場の復興実現に向けた取り組みに対して、少なくとも120億米ドルの資金を提供する他、それ以外の政府機関にも、半導体分野の研究開発資金として50億米ドルを提供する。

 このように、半導体チップ製造関連の活動が目まぐるしく展開され、技術サプライチェーンの強化が進む中、米国と中国の間では半導体技術をめぐる対立が続いている。米国は今回の組織的活動の中で、輸出規制を適用することにより、中国が米国の最先端の半導体機器にアクセスできないように防御している。5G(第5世代移動通信)市場をけん引するHuaweiは、その主要なターゲットにされている。

【翻訳:青山麻由子、滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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