「CXL」と「Gen-Z」のコンソーシアムが統合へ:成長を加速させる
「Compute Express Link(CXL)」コンソーシアムが「Gen-Z」コンソーシアムの資産とIP(Intellectual Property)を引き継ぐという知らせは、意外なことではない。2つのグループは重複する部分が多かったが、業界での勢いはCXLの方が大きいからだ。
「Compute Express Link(CXL)」コンソーシアムが「Gen-Z」コンソーシアムの資産とIP(Intellectual Property)を引き継ぐという知らせは、意外なことではない。2つのグループは重複する部分が多かったが、業界での勢いはCXLの方が大きいからだ。
両者は、それぞれの承認を得て、Gen-Zの仕様と資産をCXLコンソーシアムに譲渡するという同意書に署名した。
Gen-Zは最近5周年を迎え、CXLグループは業界での勢いを増している。その一例として、CXLのインターコネクトは最初のバージョンが2019年に公開され、2021年初頭にCXL 2.0がリリースされている。過去1年でベンダー数社が製品を発表し、2021年10月に開催された「Supercomputing 2021」カンファレンスでデモを行っている。
CXLコンソーシアムの理事長を務めるJim Pappas氏は、米国EE Timesに対し、「両者の取組みを統合すべき時期だと判断し、協業するアイデアを出したのはGen-Zだ」と明かした。同氏は、「Gen-Zは、全てのIP資産と金融資産を譲渡し、Gen-Zの全メンバー企業にCXLへの参加を促した」と述べている。
現在のGen-Zメンバーの少なくとも70%は、既にCXLコンソーシアムに所属している。「彼らは、メモリセントリックなコンピューティングを可能な限り迅速に前進させるには、両組織の強みを統合することが業界にとって最善の策となると感じたのだ」(Pappas氏)
Pappas氏は、「CXLの理念の下でGen-Zの全プロジェクトが継続されるわけではないが、他のプロジェクトも将来的にCXL仕様に組み込まれるだろう」と述べている。ただし、独自技術であることを理由に、どのプロジェクトを引き継ぐかは明らかにしなかった。
CXL仕様の次のバージョンは、2022年前半に完成する予定だという。
Gen-Zとの統合でプロジェクトが拡大することは、CXLコンソーシアムのメリットになる可能性が高い。Pappas氏は、「例えば、CXLはファブリックフレームワークを採用しているため、ファブリック管理に関するGen-Zの取り組みは、CXLの将来のイニシアチブに役立つ可能性が高い。それをそのまま使用するか、起点とするかは、技術なワーキンググループの判断することだ」と述べている。
Gen-Zのプレジデントを務めるHiren Patel氏は、CXLのダイレクトコネクトがファブリックになるであろうことに同意している。同氏は、「コンソーシアムの統合に向けた話し合いが進んだのは、こうした転換を期待したからだ。このファブリックの準備とソフトウェアスタックの作成には5年を費やしたが、この取り組みの成熟はCXLに利益をもたらすことになるだろう」と述べている。
Gen-Zは、メモリセマンティック通信を使用して、最小限のオーバーヘッドで異なるコンポーネントのメモリ間のデータ移動を行う。メモリデバイスだけでなく、プロセッサやアクセラレーターをつなぐ手法である。
技術やメンバーが重複していることから、リソースの奪い合いを減らすという意味でも、今回の統合は理にかなっているだろう。Patel氏は、CXLの下でどのようなGen-Zプロジェクトが進むのかについては明らかにしなかったものの、「全てのプロジェクト、特にGen-Zの長距離通信とマルチパス機能が注目される」と述べた。この2つは、CXLにとって課題として残っているものだ。また、今回の統合により、CXLはGen-Zが既に完了したタスクを活用することができる。
統合の詳細は、2022年夏までに決定される予定だ。Gen-Zは、まだ両グループの会員でないメンバーに対し、CXLコンソーシアムへの参加を呼びかけている。「CXLにも参加してもらうことで、われわれが行ってきた素晴らしい取り組みが引き継がれると確信している」(Patel氏)
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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