スマートホーム共通規格「Matter」対応トライラジオSoC:Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2、Threadの同時接続に対応
NXP Semiconductors(以下、NXP)は2022年1月4日(米国時間)、異なるスマートホーム製品間の相互接続を実現する新共通規格「Matter」に対応したトライラジオデバイス「IW612」を発表した。Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2、IEEE 802.15.4の3つの無線方式の通信を同時に行えるもので、Matter対応製品の開発時間やコストの削減および設計の簡素化を実現するとしている。
NXP Semiconductors(以下、NXP)は2022年1月4日(米国時間)、異なるスマートホーム製品間の相互接続を実現する新共通規格「Matter」に対応したトライラジオデバイス「IW612」を発表した。Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2、IEEE 802.15.4の3つの無線方式の通信を同時に行えるもので、Matter対応製品の開発時間やコストの削減および設計の簡素化を実現するとしている。
新共通規格「Matter」、NXPもボードメンバーとして参加
同社によると、現在、企業はスマートホーム向けにさまざまなIoTデバイスを開発/展開しているが、「各社が独自のプロトコルを使用しているため相互に連携できない」「サポートしている無線機能が製品によって異なるため物理的につながらない」といった課題があるという。
Matterは、この課題を解決するため、標準化団体「CSA(Connectivity Standards Alliance、旧ZigBee Alliance)」が策定した新規格で、スマートホームデバイスの相互接続を実現するインターネットプロトコル(IP)ベースの統一プロトコルだ。Wi-FiやBluetooth、Threadなど異なる無線方式であっても各デバイスを連携でき、「ユーザーは単一プロトコルエコシステムの制約から解放され、さまざまなエコシステムやワイヤレスネットワーク技術を横断するシームレスな相互運用性のメリットを得られるようになる」(NXP)としている。
CSA(当時はZigBee Alliance)は2019年にスマートホーム製品間の互換性を高めるための新たな接続規格を開発するワーキンググループ「Project Connected Home over IP」を立ち上げており、Matterはその成果として2021年5月に発表された。CSAには、AmazonやApple、Googleなど200社超が参加しており、NXPもボードメンバーとして「先行して仕様策定などに関わってきた」という。
3つの無線方式に対応した「業界初」の無線通信デバイス
今回、NXPが発表したIW612は、このMatterに対応し、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2、Threadの3つを「業界で初めて」(同社)統合したトライラジオデバイスであり、「内蔵のWi-Fi 6無線を使用しThreadやBluetooth機器をクラウドに接続する必要のあるスマートホーム内のボーダールーター、ブリッジ、ゲートウェイに最適だ」としている。
また、Wi-Fi、Bluetooth、Threadで同じ2.4GHz帯を同時に使用する場合などでも、お互いが干渉しないようにする「内部/外部マルチ無線オペレーション向けの先進共存機能」を有するほか、実行中の保護機能のためのセキュアな起動/デバッグ/Over-the-Air(OTA)ファームウェアアップデート、WPA3セキュリティ、ハードウェア暗号化エンジンといったセキュリティ、同社の広範なマイクロプロセッサ/マイクロコントローラー製品ポートフォリオへの事前検証済み接続、なども特長として挙げている。
また、低ノイズアンプ(LNA)、高出力パワーアンプ、スイッチなども内蔵しており、BOMとフットプリントの低減やRF設計の簡略化、購入部品点数の削減も実現できる。
Matter向けプラットホームソリューションの例。下部、TOMORROWとあるのがIW612を用いた例で、従来の製品によるソリューション(TODAYとある部分)ではWi-Fi、Bluetooth、Threadの3つに対応するには2つのチップが必要だったのを1つに統合。省スペース化や低コスト化を実現するとしている[クリックで拡大] 出所:NXP
IW612は既にサンプル出荷を開始している。同社は、「IW612だけでなく、NXPではローエンドからハイエンドまでのプロセッサ、セキュリティ、コネクティビティなど広範な製品があり、Matter実現においてトータルソリューションを提供できる」としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- NXP、4Dイメージングレーダー向けプロセッサ
NXP Semiconductorsは、4Dイメージングレーダー向け車載プロセッサ「S32R」ファミリとして、最上位製品に位置付ける「S32R45」の量産を始めるとともに、自動運転レベルL2+向けの新製品「S32R41」を発表した。 - NXP、アプリケーションプロセッサ「i.MX 93」発表
NXP Semiconductorsは、アプリケーションプロセッサ「i.MX 9」シリーズとして、microNPU(Neural Processing Unit)「Arm Ethos-U65」搭載の「i.MX 93」ファミリを発表した。 - 探し物をcm単位で検知可能、NXPのUWBチップ
NXP Semiconductors(以下、NXP)は2021年6月3日、同社のUWB(Ultra Wide Band) ICプラットフォームである「Trimension」の製品「Trimension SR040」が、Samsung Electronics(以下、Samsung)の紛失防止タグ「Galaxy SmartTag+」に採用されたと発表した。 - IoTベンダー各社、脆弱性レポート提出には消極的
IoT(モノのインターネット)デバイスの普及が急激に進んでいる。その数は過去最高に達し、データ盗用や操作の乗っ取りを狙った攻撃の増加をわずかに上回っているという。その一方で、民生機器メーカーは現在も、自社製品の脆弱性に関するレポートを提出したがらない傾向にある。EE Timesは、1年半ほど前にこの問題を取り上げているが、それ以降もレポートの数は伸び悩んでいるようだ。 - 「Wi-Fi HaLow」の本格普及に向け認証プログラムが開始
Wi-Fi Allianceは2021年11月、「Wi-Fi HaLow」(IEEE 802.11ah)の認証プログラムである「Wi-Fi CERTIFIED HaLow」を開始した。 - 数ミリ〜数十センチ間で、数百Mbpsの高速無線通信
パナソニックは2021年11月10日、OFDM(直交周波数分割多重)変調方式の一つであるWavelet OFDMを適用した近距離無線通信技術「PaWalet Link」を開発したと発表した。