GlobalwafersのSiltronic買収が不成立に:ドイツ政府からの認可得られず
シリコンウエハー大手の台湾GlobalWafersは2022年2月1日(台湾時間)、同業でドイツのSiltronic買収に必要だったドイツ政府からの認可が同年1月末の期限までに得られなかったと発表した。これによって今回の買収は不成立となった。
シリコンウエハー大手の台湾GlobalWafersは2022年2月1日(台湾時間)、同業でドイツのSiltronic買収に必要だったドイツ政府からの認可が期限までに得られなかったと発表した。これによって今回の買収は不成立となった。
GlobalWafersは2020年12月、TOB(株式公開買い付け)によってSiltronicを買収すると発表。その後、各国規制当局の承認取得を進め、2022年1月には中国当局の承認も取得、残すはドイツ政府からの承認を得るのみだった。ドイツ政府による審査は14カ月にも及び、GlobalWafersは、2022年1月末の期限までに承認を得られなかった。近年、半導体産業の重要性に関する認識が高まり技術主権追求の動きが各国で進む中、ドイツ政府は、ウエハー大手のSiltronicをアジア企業の手にゆだねることを避けたとみられる。
GlobalWafersは、「当社はドイツ政府の懸念に対処するため、極めて広範囲な救済措置の提案とコミットメントを行い、繰り返し代替策を協議する意思を示した。この結果は非常に残念だ。GlobalWafersによる買収提案およびその結果成立した契約は完了せず、失効することになる」と説明している。
同社の会長兼CEO(最高経営責任者)、Doris Hsu氏は、「ドイツ政府の不決定を分析し、当社の今後の投資戦略への影響を検討する」と述べている。なお、買収契約では、必要な規制当局の承認が得られない場合、GlobalWafersがSiltronicに5000万ユーロの契約解除料を支払うことが規定されているが、GlobalWafersは、「当社の財務基盤は強固であり、その影響は限定的だ」としている。
シリコンウエハー市場では、シェア1位が信越化学工業、2位がSUMCOと日本企業が強く、GlobalWafersは3位、Siltronicは4位に位置している。今回の買収が成立すれば日本勢に一気に迫る見通しだった。
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