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ReRAMによる「インメモリエネルギー」技術イスラエルWeebitとCEA-Letiが開発中

次世代メモリ技術の開発を手掛けるイスラエルのWeebit Nanoとフランスの研究機関であるCEA-Letiは、抵抗変化型メモリ(ReRAM)技術の開発における進展を報告した。この中には、CEA-Letiが“最新の手法”と呼ぶ、印加電圧に応じて、ReRAMデバイスをメモリとしてだけでなくエネルギーストレージ素子としても動作可能にする技術も含まれている。

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ReRAMをエネルギーストレージ素子として動作させる

 次世代メモリ技術の開発を手掛けるイスラエルのWeebit Nano(以下、Weebit)とフランスの研究機関であるCEA-Letiは、抵抗変化型メモリ(ReRAM)技術の開発における進展を報告した。ただし、商用化の準備はほとんどできていないという。

 この中には、CEA-Letiが“最新の手法”と呼ぶ、印加電圧に応じて、ReRAMデバイスをメモリとしてだけでなくエネルギーストレージ素子としても動作可能にする技術も含まれている。CEA-Letiはロードマップの一環で、エネルギー使用の削減に向けたインメモリコンピューティングの補助機能としてインメモリエネルギーを研究してきた。ReRAMベースのバッテリーは、拡張性が高く動的な割り当てが可能なため、メモリブロックの隣やプロセッサの近くに配置できるという。

 CEA-Letiの上級研究員を務めるGaёl Pillonet氏は、「プロセッサの近くにエネルギー供給源を配置することは、プロセッサがピーク電力を必要とする場合(通常は外部電源から供給される)に特に有効だ」と述べる。ReRAMは、ファラデープロセスを使用してアクティブボリューム内に情報を保存するため、エネルギーストレージデバイスとして機能する可能性を持っている。

 Pillonet氏は、「これは、ReRAMが電気化学プロセスをベースにしていることで生じる、ReRAM独自の特徴だ」と説明する。これによって、静電キャパシターを大きく上回る高いエネルギーと電力密度の実現が可能となり、拡張性もはるかに高くなる。同氏は、「スーパーキャパシターに匹敵する」と主張している。


出所:Weebit Nano

 IoT(モノのインターネット)アプリケーションの場合、ノードに計算用のReRAMが搭載されている場合があり、バイアス時にエネルギーストレージに利用できる可能性がある。「必要に応じて、メモリをエネルギーストレージモードまたはメモリストレージモードに動的に割り当てることができる」(Pillonet氏)

課題は「パッケージングソリューション」

 CEA-Letiは、ReRAMに根本的な変更を加えることなく今回の成果を達成したが、商用化するには課題も残る。Pillonet氏は、「パッケージングソリューションについて考えなければならない」と認めている。

 Pillonet氏は、「トランジスタはかなり簡単に小型化できるが、エネルギーストレージになると話が異なる」と述べる。ボタンサイズのバッテリーセルは、同じ効率で小型化することはできない。Pillonet氏は、「エネルギーストレージのスケールダウンは非常に重要だが、将来的にIoTノードの消費電力が非常に少なくなり、あまり多くのエネルギーを必要としなくなれば、全てを統合することも可能かもしれない」と語った。

 CEA-LetiとWeebit Nanoはメモリ研究でも協力しており、最近、WeebitのReRAM技術の環境への影響を分析するイニシアチブを発表し、他の不揮発性メモリ技術との比較を行っている。この評価では、資源の使用やエネルギー消費、開発/製造/展開に使用されるガスおよび化学物質に関連する温室効果ガスの総排出量に焦点を当てている。

 WeebitのCEO(最高経営責任者)、Cody Hanoch氏は、「CEA-LetiはReRAM技術に基づくディスクリートメモリの開発において重要な役割を果たしており、Weebitの延長線上にある」と述べている。そのため、同社はメモリ研究加速のため、CEA-LetiとのIP(Intellectual Property)協力関係を拡大している。

 例えば、両社はメモリIPを共同開発し、WeebitはCEA-Letiからライセンスを受けたIPを自社のReRAM製品に組み込んでいる。

 両社は最近、WeebitのReRAM技術を28nmプロセスの生産レベルでデモンストレーションした。これは、組み込み不揮発性メモリの生産に向けた重要なステップだ。両社は、300mmウエハーを用いた28nmプロセスで、1MバイトのReRAMアレイを共同でテスト/評価している。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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