RISC-Vを取り巻く環境が大きく変化した1週間:「x86、Armに並ぶ存在」とIntelも認める(2/2 ページ)
2022年2月7日の週はRISC-Vエコシステムにとって、非常に重要な1週間だったといえる。一連の発表により、オープンソースの命令セットアーキテクチャ(ISA)の注目度が高まったのだ。以下に詳しく取り上げていきたい。
Arm、「RISC-Vは、非常に手ごわい競争相手」
一方、NVIDIAの買収計画によるArmの中立性への影響を懸念していたArmの顧客は、RISC-Vを新鮮な目で見るようになった。RISC-Vが掲げる、“オープンソース化の推進と、拡張可能性およびカスタマイゼーション化の可能性の維持”に対し、どれくらいの顧客企業が引き付けられたのかは不明だ。また、このような顧客企業が、独立した株式公開企業のArmに戻ってきてくれるのか、それとも完全に消え去ってしまうのか、という点について言及するには時期尚早である。
ArmのCEO(最高経営責任者)に新しく就任したRene Haas氏は、「RISC-Vは、非常に手ごわい競争相手だ。そのオープンソースやアクセラレーターに関する取り組みなどを見ると、当社がこれまで直面してきた競合相手とは全く異なっている。われわれはRISC-Vに対して確実かつ真剣に対応し、その動きについても十分に把握している。また同時に、コンピュータアーキテクチャを確実に普及させて関心を高められるのは、ソフトウェア開発エコシステムである。われわれはこの分野で、RISC-Vに対していくつか重要な強みを持っている」と述べる。
Haas氏は、「現在、1500万を超える開発者たちが、Armプロジェクトに取り組んでいるところだ。全般的に、ソフトウェア互換性を確保する上で、Arm実装が標準となっている」と主張する。
また同氏は、「RISC-Vでイノベーションを実現すると、新しい拡張が可能になるが、ソフトウェアの互換性は失うという、トレードオフの関係にある。さらに重要なのが、ソフトウェア互換性の保証を失うという点だ。Armの創設者たちは、これをわれわれが順調に前進していく上での基本理念として掲げてきた。私もそう信じている」と述べる。
RISC-V推進派は、Armの将来に対する不安とともに、ArmがNVIDIA傘下になることに対する懸念を利用しようとしたのだろうが、そうした利点は、ほとんど消えてしまった。今のところ、Armはパブリックカンパニーとして独立を保つだろう。しかし、株式公開されたArmは、RISC-Vを立派な競争相手としてしりぞけるだけの力を持つのだろうか。Arm自身は、その両論を唱えている。最終的には、チップレットのようなヘテロジニアスなパッケージング技術の採用も手伝って、共存に近い形になるのかもしれない。
結局のところ、Intelの支援とNVIDIAのArm買収失敗が重なったことで、半導体業界は3つ目の主要チップアーキテクチャを迎えることになった、ということだ。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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