Intel、Tower Semiconductorを54億ドルで買収へ:IDM2.0戦略を大きく前進
Intelは2022年2月15日(米国時間)、ファウンドリー事業を展開するTower Semiconductor(以下、Tower)を54億米ドルで買収すると発表した。Intelは、「この買収により、われわれははファウンドリーサービスと生産能力の世界的な主要プロバイダーになるあゆみを加速し、業界で最も広範な差別化技術のポートフォリオを提供することができるようになる」としている。
Intelは2022年2月15日(米国時間)、ファウンドリー事業を展開するTower Semiconductor(以下、Tower)を54億米ドルで買収すると発表した。Intelは、「この買収により、われわれはファウンドリーサービスと生産能力の世界的な主要プロバイダーになるあゆみを加速し、業界で最も広範な差別化技術のポートフォリオを提供することができるようになる」としている。
Intelは2021年3月、製造関連の戦略である「IDM 2.0」の一環としてファウンドリー事業部門「Intel Foundry Services(IFS)」を設立。直近では2022年1月には米国オハイオ州への新工場設立、同年2月にはRISC-V Internationalへの加盟や投資ファンド設立をそれぞれ発表するなど、ファウンドリーの主要プロバイダーを目指す取り組みを加速してきた。
Towerは、高付加価値アナログ半導体ソリューションのファウンドリーとして、シリコンゲルマニウム(SiGe)やBiCMOS、ミックスドシグナル/CMOS、RF CMOS、CMOSイメージセンサー、非画像センサー、統合電源管理、MEMSなどの幅広いアナログ技術を提供している。同社は、イスラエルに2つの製造施設(150mm/200mmウエハー対応)、米国に2つの施設(200mm)、ヌヴォトン テクノロジージャパン(旧パナソニック セミコンダクターソリューションズ)との合弁により日本に3施設(200mmが2つと300mmが1つ)を持つほか、イタリアに設立中の300mm製造施設をSTMicroelectronicsと共有する予定となっている。
IntelはTowerについて、「RF、パワー、SiGe、産業用センサーなどの特殊技術における専門知識広範なIP(Intellectual Property)および電子設計自動化(EDA)パートナーシップ、確立されたファウンドリー拠点により、Intel/Towerの顧客に対し世界的に広範なカバレッジを提供することができる。また、米国とアジアでファブレス企業やIDMにサービスを提供しており、米国テキサス州、イスラエル、イタリア、日本での成長機会を含め年間200万枚以上のウエハー生産能力を持つ、地理的に補完的なファウンドリー事業を展開している」と評している。
IntelのCEO(最高経営責任者)、Pat Gelsinger氏は、「Towerの専門技術ポートフォリオ、地理的な広がり、深い顧客関係、サービス第一のオペレーションは、Intelのファウンドリーサービスを拡大し、ファウンドリー能力の世界的な主要プロバイダーになるという目標に向け前進させるだろう。この取引により、Intelは、最先端のノードと、成熟したノードにおける差別化された技術を幅広く提供できるようになる。半導体に対する需要がかつてないほど高まる中、既存および将来の顧客に新しい機会を提供することができるようになるだろう」と語っている。
同取引は、両社の取締役会で全会一致で承認されており、Towerの株主の承認や各国の規制当局の承認など必要な条件を満たした後、約12カ月で完了する予定だという。
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