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インタビュー

買収で製品群はさらに豊富に、ルネサスの産業事業は新たな成長段階へドローンなどの新興市場にも攻勢(3/3 ページ)

2021年8月に英Dialog Semiconductorの買収を、そして同年12月にはイスラエルCeleno Communicationsの買収を完了したルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)。これらの買収により、ルネサスでは産業向け事業がさらに強化されることになった。ルネサスのIoT・インフラ事業本部(IIBU)でエグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーを務めるSailesh Chittipeddi氏に、買収によるシナジーや、同事業本部の戦略について聞いた。

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「RISC-Vでも後れを取ることはできない」

――NVIDIAがArmの買収を断念しました。結果的に破談にはなりましたが、この買収が発表されて以降、RISC-Vへの注目度が高まったように思います。

Chittipeddi氏 ArmはRISC-Vの脅威を認識している。その上で、顧客がArmのエコシステムを活用して一定レベルのコンフィギュレーションを実現できるような差異化を図ろうとしているのではないか。Armのエコシステムは巨大であり、RISC-Vがその規模に追い付くには長い時間がかかるだろう。

 RISC-Vの性能自体は上がっている。3〜4年前であれば、RISC-Vはローエンド向けだと答えていたが、今は違う。RISC-VはMPUの(処理性能の)領域にも入ってきている。Armベースで後れを取ったルネサスにとって、RISC-Vで後れを取ることはできないので、われわれも動向を注視していく。


RISC-VベースのCPUは2025年までに624億米ドルに達すると予測されている[クリックで拡大] 出所:ルネサス エレクトロニクス

セルラーIoT分野での新たな動き

――DialogとCelenoを買収したわけですが、今後必要な技術としてはどんなものがありますか。

Chittipeddi氏 具体的な買収戦略についてはなかなか話すことはできないが、一つ挙げるならばコネクティビティだ。ルネサスは既に、家電向けと産業向けのコネクティビティ技術は手掛けている。だがコネクティビティにはもう一つ、重要な分野がある。それがセルラーだ。NB-IoTやLTE CAT-M1などのセルラーIoTは重要になっており、われわれとしても同分野への進出を進めていく。

 これについては2021年1月に、フランスSequans Communicationsと5G向けに協業を拡大することを発表した。Sequansの5Gモデム技術とルネサスのAFE(アナログフロントエンド)技術を組み合わせることが狙いだ。同年5月には、Sequansの技術を活用し、ルネサスとしては初となるLTE CAT-M1対応のセルラーIoTモジュール「RYZ014A」を発表した。

 なお、IoT関連では、ルネサス独自の「SOTB(Silicon On Thin Buried Oxide)」技術も高い評価を得ている。これは、アクティブ時とスタンバイ時、両方の消費電力を最小限まで削減できるプロセスだ。ルネサスは同技術で、「科学技術と経済の会(JATES)」の第10回 技術経営・イノベーション大賞において内閣総理大臣賞を受賞した。

買収で“思わぬ果実”も

 買収によって得られた果実の一つは、Dialogが2020年に買収したAdesto Technologiesだ。AdestoはNOR型フラッシュメモリなどを手掛けていて、ルネサスの既存のメモリ技術と大いに補完関係がある。これによってわれわれは、NORフラッシュからSRAM、MRAMまでメモリポートフォリオを拡張することになった。Adestoはデータ変換技術にも強みを持っており、これも当社の“ウイッシュリスト”にあったものだ。NORフラッシュやデータ変換技術などを、Dialogの買収によって得られたことは予想していなかったことだ。こうした技術は、いますぐにシナジーが出るものではないが、5年後など中長期的なタイムフレームで見れば必ず成果が実るものだと確信している。

 Dialog、Celenoの買収やパートナーシップとの協業によって、ルネサスは今後、ますます面白い技術や使いやすい製品を発表できるようになるだろう。期待してほしい。

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