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RFトランシーバー回路の大幅な小型化を実現、ルネサス「コロンブスの卵的発想」で生まれた新技術(2/2 ページ)

ルネサス エレクトロニクスが、RFトランシーバー回路において、従来技術より大幅な省面積化を実現するとともに、低消費電力化やコスト低減、基板設計の容易化も可能にする2つの新回路技術を開発した。同技術を用いて22nm CMOSプロセスで試作したBluetooth Low Energy(LE)対応の2.4GHz RFトランシーバー回路は、電源系を含む回路面積を0.84mm2と世界最小(同社)にしたほか、消費電力も受信/送信時で3.6mW/4.1mWと低く抑えることに成功したという。

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キャリブレーション回路を不要にする新技術

 もう1つの新技術SIQCは、従来のキャリブレーション回路を不要にすることでさらなる回路面積削減などを実現するものだ。

 RFトランシーバー内部では、4つの異なる位相を持つ基準信号を用いて無線信号を低周波ベースバンド信号に変換するが、この精度が悪いと受信特性の劣化を招くため、従来では位相のずれや振幅のずれを補正するキャリブレーション回路を用いている。しかし、このキャリブレーション回路を内蔵するためにチップ面積や消費電力が大きくなるほか、テストコストが増加する、という課題があった。

 そこで同社は今回、従来のように「ずれを検知して補正する」のではなく、簡単なラッチ回路を追加し、4つの異なる位相を持った基準信号を互いに補正し合うことで位相誤差をキャンセルするという新しい発想の回路方式を開発した(下図)。この方式であれば、ずれの検知などをする必要がなく、補正を小規模な回路で実現できるため、従来のキャリブレーション回路に比べ約12分の1と大幅な回路の小型化が可能という。


キャリブレーション回路不要の基準信号自己補正回路技術(Self IQ-phase Correction、SIQC)の概要[クリックで拡大] 出所:ルネサス エレクトロニクス

 なお、試作チップの評価をしたところ、受信特性で重要なイメージ信号除去比は平均で39dBが得られ、「Bluetooth規格に対して十分なマージンを取れることを確認した」としている。


SIQCのシミュレーション結果(左)と試作チップの評価結果(右)[クリックで拡大] 出所:ルネサス エレクトロニクス

 開発担当者は、「今回の技術は、既存技術のようにシステムとして絶対的に補正するのではなく、位相間で相対的に調整できればいいという発想の転換で実現することができたものだ」と語っていた。

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