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米国、ロシアへの半導体輸出規制を強化最先端技術のアクセスを幅広く遮断

米国政府は、ロシアのウクライナ侵攻を受け、軍事機器に使用される半導体技術へのロシアのアクセスを制限するため、半導体サプライチェーンに対する規制を強化する。

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 米国政府は、ロシアのウクライナ侵攻を受け、軍事機器に使用される半導体技術へのロシアのアクセスを制限するため、半導体サプライチェーンに対する規制を強化する。

 バイデン政権は、ロシアの軍事部門に対する全面的な制限の他にも、「米国由来のソフトウェアや技術、機器を使用して他国で製造された米国の機密技術に関して、ロシア全土に対し制限を課す。こうした厳しい規制を続けることで、ロシアによる最先端技術へのアクセスを遮断する計画だ」と述べている。

 ホワイトハウスによると、制限は、半導体や通信、暗号セキュリティ、レーザー、センサー、ナビゲーション、航空電子工学、海洋技術に及ぶという。

 これは、グローバルサプライチェーンにおいて半導体が果たす役割がますます重要になっていることを示している。2年前のパンデミック発生以降、半導体不足は、経済的および安全保障上の懸念事項となっている。自動車からスマートフォンまであらゆる製品の販売企業が、半導体を十分に確保できなかったために売り上げや雇用、収益を減らしている。

制裁の影響、ロシアにとっては大きいが世界市場では軽微

 米国半導体工業会(SIA:Semiconductor Industry Association)のプレジデントを務めるJohn Neuffer氏は声明で、「米国の半導体業界は、新しい輸出管理規則の順守に全力で取り組んでいる。新しい規制はロシアに多大な影響を及ぼす可能性があるが、世界半導体市場統計(WSTS)によると、ロシアは半導体の重要な直接消費国ではなく、世界の半導体購入に占める割合は0.1%未満にすぎない」と述べている。

 Neuffer氏は、市場調査会社のInternational Data Corporation(IDC)の2021年のデータを引用して、「4兆4700億米ドルの情報通信技術市場のうち、ロシアが占めているのはわずか503億米ドルだ」と述べている。

 SIAは、半導体サプライチェーンにおけるロシアとウクライナの重要性や両国が世界の生産を混乱させる可能性については、それほど深刻だとは捉えていない。Neuffer氏は、「半導体業界には主要な材料とガスの多様なサプライヤーが他国にいるため、ロシアとウクライナに関連して供給停止のリスクが即時に発生するとは考えにくい」と述べている。

 米国以外でも、TSMCなどの半導体メーカーが、米国の新しい輸出規則への準拠を発表している。

 TSMCのグローバル政務担当バイスプレジデントを務めるPeter Cleveland氏はLinkedInへの投稿の中で、「TSMCは、ロシアに対して発表された米国の半導体輸出規制を直ちに実施する。当社は制裁に厳密に従って直接および間接的な半導体出荷を行うことを保証する強固なグローバルコンプライアンスシステムを採用している」と述べている。

長期化なら「深刻な問題になる可能性」

 米国の投資会社であるSusquehanna International Groupで株式調査担当シニアアナリストを務めるMehdi Hosseini氏によると、ウクライナ紛争が6カ月以上続けば、材料の供給がより深刻な問題になる可能性があるという。

 Hosseini氏は、「TSMCは6カ月近い原料供給を持っているようだが、東欧の危機によって影響を受ける可能性がある。主要なガスや貴金属は東欧の国々から供給されており、特にウクライナはリソグラフィーに使われるネオンの世界供給量のうち50%以上を占めている」と述べた。

 世界各国の政府は、半導体が経済成長に果たす重要な役割を認識し、半導体サプライチェーンの安全確保を目指している。半導体の供給は安全保障を強化することも、損なうこともできる。

 Cleveland氏は、「国家共同体はウクライナの領土保全に対する明確な侵害に対応しており、TSMCは、ロシアの侵攻を食い止めるための、半導体関連の経済行動を実施する予定だ。法の支配は重要だ」と語った。

 Bloombergの報道では、日本、台湾、韓国およびその他同盟国の半導体サプライヤーは、米国のルールに従うか、従うことを約束したと伝えられている。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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