「末端」だったから下剋上も早い? 身近な電子機器の中核に入り込む中国製チップ:この10年で起こったこと、次の10年で起こること(60)(3/4 ページ)
今回は主に身近な製品に搭載されている中国半導体の事例を紹介する。この1〜2年、中国半導体の比率が上がったのかといった問い合わせが多かった。またどのような分野で増えているのかなどの問い合わせも増えている。
中国YMTCのSSDを搭載したノートPC
図4は、2021年に発売された中国ALLDOCUBEのノートPC「GT Book」である。内部には通常のノートPCと同じく、コンピュータ基板、SSD、タッチパッド、キーボード、ディスプレイ、カメラ、電池という構成になっている。
SSDは図4のように中国YMTC(Yangtze Memory Technologies)製が用いられている。中国のメモリメーカーは必ずしもうまくいっているわけではないが、徐々に実製品に組み込まれている。成功するかどうかはここでは言及しないが、他にもYMTCのチップが実際に使われている商品はいくつか確認できているので、今後も動向を見ていきたいと思っている。
図5はGT Bookのコンピュータ基板(左下)、ディスプレイ基板(左上)、カメラ基板(右上)の様子である。コンピュータ基板にはIntelの廉価版向けプロセッサ「Celeron N5100」が採用されている(図面の赤枠部)。Celeron N5100は新世代のAtomコアが採用されており、Intelの10nmで製造されている(弊社ではCeleron N5100の詳細を解析済みだが、従来のCeleronとは異なる構造のチップになっており、非常に注目度の高いものとなっている)。
ノートPCはプロセッサだけでは完成しないのでキーボードコントローラー、オーディオIC、電池系のICなど多くのチップを組み合わせて構成する。本製品では電源系に中国CellWise Microelectronics、オーディオ系には中国Everest Semiconductorのチップが使われている。カメラ部にはカメラ用のセンサー、画像処理プロセッサが必須、またディスプレイ用基板には電源系、タイミングコントローラーTCONが必須だが、さらにそれぞれにメモリが組み合わされている。これらは中国製メモリである。
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