クラウドに最適化したシリコンフォトニクスプラットフォーム:Marvell Technologyが開発(2/2 ページ)
Marvell Technology(以下、Marvell)は、クラウドに最適化した最新のシリコンフォトニクスプラットフォーム「400G DR4」の生産体制が整ったことを明らかにした。400G DR4は、増大する帯域幅の需要と人工知能や機械学習に依存した高度なアプリケーションに対応するように設計されている。
変調器や検出器をシリコンに「内蔵」
ここで重要なのは、シリコン上に集積するのではなく、シリコンに内蔵された変調器を開発することだ。
Nagarajan氏は、「当社は、シリコンに内蔵された変調器を開発した。これは簡単なことだ。変調器はシリコンで、検出器もシリコンだからだ。シリコン上に集積するのではなく、モノリシックの形を採っている。シリコンが実際に他のプラットフォームよりもはるかに優れているのは、シリコンフォトニクスチップをシリコンインターポーザーとして使用できることである。シリコン上にフリップチップを集積して、2.5次元の集積をした。2.5次元と3次元の集積は最先端である」と述べている。
400G DR4プラットフォームによるMarvellのミッションは、さまざまなクラウドインスタンスのコンピューティング、ネットワーキング、光インターコネクトの要求を満たすことができるクラウド最適化シリコンソリューションを提供することだ。また、400G DR4モジュールによって、顧客は、「シリコンウエハースケールの大量生産」によるコストメリットを十分に得られるという。
同社ソリューションマーケティングのバイスプレジデント、Nigel Alvares氏は、「世界はますますクラウド中心になりつつある。人々のデータは全てクラウドを行き来するが、それらのクラウドはそれぞれかなり独特で、そのサービス内容に応じて最適化されたシリコンソリューションが必要だ。これらの異なるワークロードは、データセンター全体やその外に出る前にスイッチに接続する必要がある。異なるタイプの計算、ネットワーキング、光インターコネクト、スケール、AIアクセラレーター、コンピュータアクセラレーターを必要とするのだ」と説明した。
400G DR4プラットフォームは、クラウドデータセンターにおいて最大2kmのセンター内距離で電気信号を伝送することを可能にする。ただ、同社が現在量産中の「COLORZ II 400ZR」ソリューションはさらに遠距離まで到達することができ、クラウドデータセンターが数千キロメートルに及ぶ地域内で接続することが可能となる。
同様のシリコンフォトニクス技術に基づく、最新のデータセンター相互接続用製品であるCOLORZ II 400ZRは、QSFP-DDプラガブル(Pluggable)モジュールで、この分野は同社が今後も拡大すると予想している。
Nagarajan氏は、「次のトレンドは、これらのモジュールをより小さなフォームファクターに移行し、カード自体に搭載できるかということだ。プロセッサの位置にどんどん近づけ、処理が行われる場所にどんどん近づけていく。これは、Co-Packaged Optics(CPO)と呼ばれる全く新しいトレンドで、シリコンフォトニクスに非常によく適している」と述べた。
同社によれば、400ZRモジュールの利点は、トランスポートボックスと同レベルの性能と電力を提供することができるにもかかわらず、かなり小さなパッケージであることだ。シリコンフォトニクス技術のフットプリントにより、データセンターをエンドユーザーにより近い場所に設置することができるという。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 光トランシーバーのForm Factorの新動向(6) 〜電気と光のインタフェース
今回はCPOモジュールの大きな議論となる電気と光の実装インタフェースを述べる。また、2021年2月上旬にCPO CollaborationからJDFの成果として3.2T CPOの要求仕様が公開されたので紹介する。 - シリコンフォトニクス技術「COUPE」が導波路とファイバを高い効率で結ぶ
今回は、シリコン光導波路と光ファイバを「COUPE」が高い効率で結合可能であることを示す。 - シリコンフォトニクス技術で周波数人工次元を観測
横浜国立大学と東北大学、慶應義塾大学および、東京大学らの研究グループは、光集積プラットフォーム「シリコンフォトニクス」技術を用いて、「周波数人工次元」と呼ばれるトポロジカルフォトニクス関連の光学現象を観察することに成功した。 - シリコンフォトニクス技術「COUPE」の電気的な性能
前回に続き、TSMCが考えるPE(Photonic Engine)の実現方法「COUPE(COmpact Universal Photonic Engine)」を紹介する。今回は、「COUPE」の電気的な性能をシミュレーションした結果をご報告する。 - 低損失の高速光電変換ユニット「COUPE」の概念
今回は電気信号を光信号に変換(あるいは電気信号を光信号に変換)する回路ユニット「フォトニックエンジン(PE:Photonic Engine)」の構成と、TSMCが考えるPEの実現手法「COUPE(COmpact Universal Photonic Engine)」の概念を説明する。 - シリコンフォトニクスへのアプローチ
今回から、「シリコンフォトニクス」に関する講演部分を紹介していく。