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Armが最大15%の人員削減を検討IPOの準備を進めるなか

2022年3月15日の各社報道によって、Armは世界全体の従業員約6500人のうち、米国/英国の社員を中心に最大15%の人員削減を検討していることが明らかになった。

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IPOに向けた事業見直しの一環

 2022年3月15日の各社報道によって、Armは世界全体の従業員約6500人のうち、米国、英国の社員を中心に最大15%の人員削減を検討していることが明らかになった。

 Armは、「あらゆる事業と同様に、さまざまな機会とコスト規律との適正なバランスを確保すべく、事業計画の継続的な見直しを行っている。残念ながらこうしたプロセスには、Armの全世界の従業員の人員削減も含まれる」と述べている。また同社の広報担当者は、米国EE Timesとの電子メールのやりとりの中で、「この人員削減案が実施された場合、従業員全体の約12〜15%に影響が及ぶことになる。主に、英国および米国拠点の従業員が対象となる予定だ。協議プロセスによる対応を行うが、一部の従業員が余剰人員削減のリスクにさらされることになる。また、現地の雇用法制に従い、近いうちにその影響を受ける従業員もいる。正確なプロセスについては、現地によって異なる見込みだ」と付け加えている。

 多くの業界観測筋は、NVIDIAによる買収が破断に終わった後に、このような人員削減が行われることを予想していたようだ。ソフトバンクグループが2023年3月31日までに、ArmのIPO(新規株式公開)を行うための準備を進めていることから、Armとソフトバンクが、株式公開に向けてArmの魅力を高められるよう、事業の絞り込みやコストベースの調整について検討するのは当然だといえる。


決算説明会でArm売却断念の経緯を語る孫正義氏(2022年2月8日に開催されたオンライン説明会の画像をEE Times Japanがキャプチャー)

 Armが確実に検討するとみられる重要なポイントの1つに、「どのように自らを変化させる必要があるか」という点がある。NVIDIAはArmを買収するにあたり、独自に買収価格を提示していたため、Armに対する市場の見方の変化に対応する必要があるのだ。RISC-Vベースのアーキテクチャの支持派は当初、予想されていた通り、「もしNVIDIAがArmを買収すれば、Armは半導体業界における中立的な立場を失う可能性がある」という事実について強調していた。最終的にはArmも自ら、RISC-Vメーカーの脅威に直面していることを公言した。例えば、「SiFiveのRISC-VプロセッサコアIP『Performance P550』は、小型パッケージに搭載されたArmの既存のCPU IPブロック(Cortex-A75)に比肩する」と述べていた。

 Arm/NVIDIAの合併買収案件が長引いた結果、開発者らは代替案を模索し始めるようになった。SiFiveのCEO(最高経営責任者)を務めるPatrick Little氏は、2022年3月半ばに行った米国EE Timesのインタビューの中で、「顧客企業から、SiFiveが提供しているような(Armの)代替となる命令セットアーキテクチャ(ISA)に対する要望を受けている」 と説明している。さらに、2022年2月掲載の「RISC-Vを取り巻く環境が大きく変化した1週間」でも強調したように、Intelは、複数種類のISAを採用することによって勢いを見せている。

 今回Armが発表した人員削減については、同社がIPOに向けた準備を進めるために事業を見直す上で、最も実行する可能性が高い対応策の中のほんの一部にすぎない。

Arm人材は引く手あまた?

 人員削減の影響を受けるArmの人々にとっては、今回の件は明るい兆しとなるかもしれない。というのも、Armの優秀な人材の多くは、自分の“市場価値”を知ることになるだろうからだ。例えば先日、OpenFiveを2億1000万米ドルで買収したAlphawave IPの執行会長であるJohn Holt氏を取材した際、2021年のIPO時に計画していた英国ケンブリッジの設計チームの採用状況について尋ねたところ、同氏は「優秀なシリコン設計チームへの需要が大きいため、採用は難しい」と語っていた。

 今なら同氏は、求める人材を獲得できるかもしれない。すでに、ケンブリッジにあるいくつかの会社には、Arm社員が職を求めて電話をかけているという。Secure ThingzのCEO、Haydn Povey氏はLinkedInの投稿で、「この件から『創造的破壊』が起こることを期待している。われわれを含めて多くのケンブリッジにある企業が新しいスタッフを必死に探してるので、本件で影響を受けた全員が幸せに早く落ち着くことを願う」とコメントしている。

 Armには優秀な人材が集まっており、その価値は計り知れない。半導体産業の短い歴史の中で、設計者だけでなく政治家や政府の間でも「半導体」が話題になるような時期には、なおさらだ。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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