ディスコ、21年度は売上高、利益とも過去最高に:マンパワー不足で受注残は増加
ディスコは2022年4月21日、2022年3月期(2021年度)通期の決算説明会を開催した。売上高は2537億円で、2021年3月期(2020年度)の1828億円に対し38.8%増となり、過去最高を記録した。営業利益は915億円(前年度は531億円)、営業利益率は36.1%(前年度は29.0%)で、いずれも過去最高となった。
ディスコは2022年4月21日、2022年3月期(2021年度)通期の決算説明会を開催した。売上高は2537億円で、2021年3月期(2020年度)の1828億円に対し38.8%増となり、過去最高を記録した。営業利益は915億円(前年度は531億円)、営業利益率は36.1%(前年度は29.0%)で、いずれも過去最高となった。
2022年3月期第4四半期(2022年1〜3月期)の売上高は735億円、営業利益は282億円、営業利益率は38.4%と、四半期ベースでも売上高および各利益率(営業利益率、経常利益率、純利益率)で過去最高を更新した。
ディスコは「半導体メーカー各社の投資意欲が活発で、ダイサーおよびグラインダーの出荷が年間を通じて高い水準にあった。それに伴い、装置に取り付ける消耗品の精密加工ツールも、出荷が好調に推移した。用途としてはロジック、メモリ、パワー半導体など幅広く需要が強い状況が継続している」と語った。「GP率(収益性)も上昇している。円安の影響に加え、継続的に取り組んでいる改善活動の効果や良好な市場環境も追い風となっている。足元の事業環境ではインフレの動向について注意が必要だが、現時点では、コスト面などに大きな影響は表れていない」(同社)
受注高は通期で3015億円。「2020年度に初めて2000億円を突破したが、わずか1年で、そこからさらに約1000億円を上積みした」(ディスコ)
設備投資については、工場の拡張と、研究開発拠点として2022年4月に「羽田R&Dセンター」(東京都大田区)を開設したことから、過去最大となる456億円となった。
2022年度Q1は減収見込みも、出荷額は高水準
2022年度第1四半期(2022年4〜6月期)の業績見通しについては、売上高624億円と減収を見込む。ただし、これは「顧客の検収のタイミング(ディスコは検収ベースで収益を計上)が読みにくいこと」が原因とし、市場動向によるものではないとした。出荷額としては683億円と高水準、前四半期比で横ばいを見込んでいる。「足元においても装置、消耗品に対する需要は強く、工場もフル稼働を継続している」(同社)
2022年の設備投資については、「2021年度に過去最大の設備投資を行ったため」(ディスコ)水準を引き下げるが、合理化投資を中心に投資は継続する。一方でR&Dは、積極的に実施していくと述べた。
マンパワー不足で受注残が増加
一方、2021年度第4四半期(2022年1〜3月期)の受注残高は約778億円で、第3四半期(2021年10〜12月期)末時点での668億円よりも、さらに積み上がった。原因の一つとしてディスコは人材不足を挙げる。「当社は生産能力をマンパワー、生産スペース、部材/原材料の3つで考えているが、生産スペースについては確保できている。ただ、マンパワーが足りておらず、全力で採用活動を行っている」(同社)。採用活動は時間がかかるものの、「ことしに入り、期間工の活用なども増やしているので、マンパワーについては少しずつ改善されていくとみている」とした。材料についてもタイトな状況は続いているが、現時点では大きな懸念は発生していないという。
ロシアによるウクライナ侵攻の影響については、「ロシアとウクライナ向けの製品出荷はほとんどないので、(売り上げ面での)直接的な影響はほぼない」としながらも、「原材料や資源価格において間接的な影響は出てくる可能性は十分にある。ロシアおよびウクライナ情勢に限らず、最近のインフレも含め、コスト高への対応については、地道な改善などを通じて対処していくことが基本方針」と述べた。なお、ここ1年間の市場環境が良好なことから、顧客にコスト高を吸収してもらいやすくなっていると語った。
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