ディスコが長野事業所の新棟を公開:「存在感ある工場を作りたい」
半導体製造装置メーカーのディスコは2021年2月5日、同社長野事業所(長野県茅野市)の敷地内に建設した新棟(B棟)を、報道機関向けに公開した。新棟は、同年1月6日に完成した免震構造の建物で、投資額は約175億円。
半導体製造装置メーカーのディスコは2021年2月5日、同社長野事業所(長野県茅野市)の敷地内に建設した新棟(B棟)を、報道機関向けに公開した。新棟は、同年1月6日に完成した免震構造の建物で、投資額は約175億円。地上10階建て、高さは47.8mである。建築面積は1万6241m2で、延床面積は13万1857m2。既存のA棟も含めた長野事業所の延床面積は、従来の7.5倍となる。ディスコは2019年4月に、新棟建設を発表した。
10階建ての新棟は、1階が駐車場、10階が社員食堂、2〜9階が製造フロアになる予定だ。2〜9階には、製造フロアだけでなく多目的スペースや会議室、事務所などが設けられる。内装工事は、今後ディスコが自社で実施する予定で、どのフロアに何を割り当てるかという詳細は、まだ決まっていない部分もある。
B棟1階の駐車場には、約250台分の駐車スペースがある。見学会では、2階部分の多目的スペースや製造エリアになる予定の部分が紹介された。多目的スペースはバレーボールコート4面分の広さがあり、将来的にはバレーボールコートやバドミントンコートを作る計画だ。
製造エリアのうち見学会で紹介した部分の面積は1万1600m2、高さは6.3m。床はコンクリート打ちっ放しで天井は鉄骨むき出しの状態だが、その分、装置を柔軟に配置できる。「今後導入する製造ラインに合わせて、電気や水道などのユティリティーを都度、実装できるようになっている」(ディスコ)
長野事業所では主に、ダイシングソーをはじめ、周辺機器と主要部品を製造しているが、まずはA棟で量産中の「全自動ダイシングソー」の主力機種を、新棟で4月をメドに増産を開始する予定だ。
新棟の10階は、食堂や屋上テラスとなる計画だ。「約800席を用意し、八ヶ岳を眺めながら食事ができるようにする。屋上テラスは、憩いの場としたい」(ディスコ)
ディスコの社長*)を務める関家一馬氏は、「現状、既存のA棟で市況をまかなえるだけの装置を製造できているため、新棟は(装置が足りないといった)切迫した状況を解消するための建屋ではない。むしろ(将来を見通して)かなり先行的な取り組みとして、存在感ある工場を作りたいという思いで建設した」と、B棟建設の意図を語った。
*)関家一馬氏は、社長兼CEO兼COO(最高執行責任者)兼CIO(最高情報責任者)兼技術開発本部長を務める。
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