売上高、営業益で過去最高を更新、TDK22年3月期決算:中計売上高目標は1年前倒し達成へ(2/2 ページ)
TDKは2022年5月11日、2022年3月期通期業績(米国会計基準)を発表した。売上高は前年比28.6%増の1兆9021億2400万円、営業利益は同49.4%増の1666億6500万円と、前年に続いて売上高、営業利益ともに過去最高を更新した。
23年3月期、売上高2兆2000億円を予想
2023年3月期業績(IFRS[国際会計基準])見通しについては「現状、2022年の世界経済成長率は、3月に下方修正されて3.6%と予想されているが、マクロ経済はさらに下振れする懸念がある」(TDK社長 齋藤昇氏)と慎重な見方を示しながらも、2022年3月期実績を上回る売上高2兆2000億円、営業利益1850億円を予想した。売上高2兆2000億円は、2022年3月期からスタートした3カ年の中期経営計画で掲げた「2024年3月期売上高2兆円」という目標を上回る。
2023年3月期における主要用途市場予測としては、商用車含む自動車の生産台数は2022年3月期比5%増の8300万台を予想。スマートフォンについては前年並みの13億1900万台とした。コロナ禍以降、需要が急拡大してきたHDDやノートPC、タブレット端末については需要が一段落し、生産台数は減少に転じるとの見方を示した。
こうした市場予想に基づいた製品別売上高予想は、受動部品、センサー応用製品、磁気応用製品、エナジー応用製品といずれの製品分野でも前年比7〜20%の成長を予想。HDDヘッドが主力の磁気応用製品も「データセンター用ニアラインHDD向けの需要拡大が続く」(齋藤氏)として、前年比15〜18%程度の増収を予想した。
また説明会では、中期経営計画で定めた2024年3月期までの3カ年で7500億円の設備投資計画の見直しを発表。当初、7500億円のうち60%をエナジー応用製品向けに投資するとしていたが、需要動向などを考慮して40%に縮小。一方で、20%程度としていた受動部品への投資割合を30%に引き上げるなど、他の製品分野へ振り分ける。なお、TDKでは5月10日にMLCC(積層セラミックコンデンサー)の主力生産拠点である北上工場(岩手県北上市)に新製造棟を建設すると発表している(関連記事:TDKが北上工場に新棟建設、MLCCの生産体制を強化)。
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