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ダイオードを使った整流回路の解析:Ritz-Galerkin(リッツ・ガラーキン)法福田昭のデバイス通信(363) imecが語るワイヤレス電力伝送技術(17)(1/2 ページ)

今回は近似解を求める手法である「Ritz-Galerkin(リッツ・ガラーキン)法」を簡単に説明しよう。

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 (ご注意)今回は前回の続きとなっています。まず前回の内容を読まれることを推奨します。



ダイオードを使った整流回路の解析手法

 前回の後半で説明したように、レクテナの整流器(整流回路)にはダイオードを使うことが多い。実際のダイオードは、寄生素子である抵抗成分、容量成分、インダクタンス成分を有する。ダイオードの接合容量Cj、ダイオードの直列抵抗Rs、ダイオードを封止するパッケージのインダクタンスLp、パッケージの容量Cpなどである。実際の回路設計では、これらの寄生素子による影響を考慮しなければならない。

 講演では、以下の4つの解析手法を挙げていた。

  1. 近似解析:「Ritz-Galerkin(リッツ・ガラーキン)法」による近似解
  2. 数値解析:「常微分方程式(ODE:Ordinary Differential Equation)」を時間ステップで解く
  3. EDA(Electronic Design Automation)ソフトウェア:「ADS(Advanced Design System」)」「Qucs(Quite Universal Circuit Simulator)」「QucsStudio」などを使う
  4. ダイオードをカスケード接続した回路を使う

ダイオードを使った整流回路の主な解析手法[クリックで拡大] 出所:imecおよびEindhoven University of Technology(IEDMショートコースの講演「Practical Implementation of Wireless Power Transfer」のスライドから)

 今回は近似解を求める手法である「Ritz-Galerkin(リッツ・ガラーキン)法」を簡単に説明しよう。

変分法(Ritz)法とGalerkin(ガラーキン)法

 高周波電力を直流電力に変換するダイオード回路の解析は、数学的には微分方程式を解くことに等しい。偏微分方程式の近似解を求める代表的な手法に「変分法(Ritz法)」と「Galerkin(ガラーキン)法」がある。これらの手法はアプローチが異なるものの、同じ近似解を得られることから、まとめて「Ritz-Galerkin(リッツ・ガラーキン)法」と呼ぶことが多い。

 電圧Vgと寄生抵抗Rgの高周波電力生成器からダイオード整流器に電力Pavを与える回路モデルを考える。整流器が出力する負荷RLには直流電圧Vdcが発生する。ダイオードの寄生抵抗Rs、飽和電流Isを考慮すると、電力Pavと直流電圧Vdcの関係は下図の方程式で記述できる。


ダイオードを使った整流回路の回路モデル(左)と、回路を記述する方程式(右)。方程式の左項が入力の高周波電力、右項が出力の直流電圧を含む[クリックで拡大] 出所:imecおよびEindhoven University of Technology(IEDMショートコースの講演「Practical Implementation of Wireless Power Transfer」のスライドから)

 当然ながら、入力電力が増加すると出力電圧も増加する。なおダイオードの寄生容量は無視しているので、周波数依存性はないものとしている。

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