中国市場は低迷も、SMICの売上高は急増:100%の工場稼働率を維持
SMICによると、同社の2022年第1四半期の売上高は、中国市場の需要低迷が警戒される中で、前年比66%増の成長を遂げたという。
SMICによると、同社の2022年第1四半期の売上高は、中国市場の需要低迷が警戒される中で、前年比66%増の成長を遂げたという。
中国政府が「ゼロコロナ」政策の一環として、SMICが本社を置く上海をはじめ、各都市でロックダウンを実施する中、同社は現在も、100%の工場稼働率を維持できているという。中国最大の半導体メーカーであるSMICは、民生機器市場が低迷する一方、電気自動車や高性能ディスプレイなどで使われる半導体の堅調な需要に対応すべく、製造の移行を進めた。
これまで、SMICをはじめとする半導体ファウンドリーでは、売上高全体の約50%を、スマートフォンをはじめとする民生機器が占めていた。しかし、SMICでは2022年第1四半期に、その割合が30%未満にまで下がったという。
SMICの共同CEO(最高経営責任者)であるHaijun Zhao氏は、2022年5月に実施したアナリスト向けのカンファレンスコールの中で、「スマートフォンや民生機器、PC、インターネットなどの分野が、大きく低迷している。一部の顧客企業は、サプライチェーンにおいて5カ月分の在庫を抱えるなど、非常に深刻な過剰供給の状態にある」と述べている。
SMICは、パワーマネジメントICやAMOLED(アクティブマトリクス式有機ELディスプレイ)ドライバーIC、MCU、Wi-Fi 6向け部品など、堅調な需要を維持している分野へと製造を切り替えたという。
中国国内では過剰在庫も
同社はかつて、世界最大規模かつ最も成長力が高い半導体市場である中国の、強力な需要によるメリットを享受していた。米中間の技術戦争が繰り広げられる中、中国国内のエレクトロニクスメーカーが、SMICのような現地サプライヤーに目を向けるようになったためだ。同社によると、最近では、米国や欧州の需要が依然として強いにもかかわらず、中国国内で過剰在庫が生じ始めているという。
Zhao氏は、「現在、米国や欧州などの海外市場は急激に回復しつつあるが、中国市場は、過剰在庫が発生する停滞状況にある」と述べる。
SMICは2022年第1四半期に、需要全体の68%を中国市場に依存する形となった。前年同期の56%から大きく増加している。一方、北米市場に対する2022年第1四半期の売上高は、前年同期の28%から、19%まで減少したという。
SMICの最新プロセス技術である28nm FinFETは、2021年第4四半期の売上高全体の18.6%を占めたという。同社は、2022年第1四半期におけるプロセス技術別の内訳については、明らかにしていない。
SMICは、2022年に50億米ドルを投じ、既存の施設を拡充するとともに、新たに3つの工場を建設するプロジェクトを実施する予定であることを繰り返し主張した。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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