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ソニーのイメージセンサー事業、課題はロジックの調達収益ではモバイル向けがけん引も(1/3 ページ)

ソニーグループは2022年5月26〜27日にかけて、2022年度の事業説明会を開催した。イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野については、ソニーセミコンダクタソリューションズの代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)である清水照士氏が報告した。

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 ソニーグループは2022年5月26〜27日にかけて、2022年度の事業説明会を開催した。イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野については、ソニーセミコンダクタソリューションズの代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)である清水照士氏が報告した。


ソニーセミコンダクタソリューションズ 代表取締役社長兼CEOの清水照士氏

 2021年度におけるI&SS事業の売上高は1兆764億円、営業利益は1556億円。清水氏は、2021年度を振り返り、「厳しい事業環境が続いたが、米中摩擦以降進めてきた、モバイルイメージセンサーの顧客基盤の分散、拡大や、数量シェアの回復については一定の成果を出せた」と語った。同年度のハイライトとして、センシング向けの製品ラインアップの拡充や、エッジAI(人工知能)センシングプラットフォーム「AITRIOS(アイトリオス)」の発表、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング長崎テクノロジーセンター(長崎テック)に新設した「Fab 5」の稼働開始、TSMCの半導体受託製造子会社Japan Advanced Semiconductor Manufacturing(JASM)への出資を挙げた。

当面はモバイルイメージングが市場をけん引

 イメージセンサー市場の見通しについては、2022年度〜2030年度にかけCAGR(年平均成長率)約9%で成長する中、「2030年でも、モバイルイメージングが過半を占める」(清水氏)と予測。「従来は、成長が鈍化するとみていたが、多眼化は飽和するも大判化のトレンドが中長期的に継続し、市場成長をけん引するという見通しに変更した」とする。車載については、ADAS(先端運転支援システム)領域が拡大するが、AD(自動運転)領域の立ち上がりにはまだ時間がかかるとの見方を示した。

左=イメージセンサー市場の見通し/右=モバイルイメージング領域の成長見通し。とりわけハイエンド機種が大きく成長するという[クリックで拡大] 出所:ソニーグループ

 スマートフォンのハイエンド機種では、「差異化要因としてカメラが重視されていて、高性能なカメラシステムを追求する動きが継続している」と清水氏は述べる。「独自のアプリケーションプロセッサ(AP)を持つメーカーのみならず、汎用APを採用するスマートフォンメーカーも、独自のISP(Image Signal Processor)を開発して新たな撮影体験を訴求しようとしている。ここで必要なのが大画素、大口径のイメージセンサーだ。われわれは、引き続きこの領域に最も注力していく」(同氏)

 一方、普及価格帯のスマートフォンでは、微細多画素イメージセンサーの採用が進んでいる。画素が小さくなるので画質がどうしても悪化するが、ここについてはソニーが得意とする信号処理やアルゴリズムによる性能向上で差異化を図るとした。


スマートフォンのイメージセンサーの技術動向[クリックで拡大] 出所:ソニーグループ

 清水氏は、イメージセンサーの差異化を高付加価値化を図る技術の一つとして、ソニーセミコンダクタソリューションズが2021年12月に発表した「2層トランジスタ画素積層型CMOSイメージセンサー技術」を挙げた。従来の裏面照射型CMOSイメージセンサーでは同一基板上で形成していたフォトダイオードと画素トランジスタの層を、別々の基板に形成し上下に積層する技術である。ダイナミックレンジ拡大やノイズ低減を実現し、イメージセンサーを高画質化できる。

 モバイルイメージングの技術進化の方向性については、「静止画については、今後数年以内に一眼レフカメラの画質を超えるとみている」(清水氏)という。清水氏は、「2030年には、静止画であれば超HDR(ハイダイナミックレンジ)やズーム機能、動画であれば高画質動画や8Kでの高速読み出し、さらに、いかにうまく写真を撮るかという演出面での機能も進化していくだろう」と続けた。


モバイルイメージングの技術進化の方向性。中央に書かれているのは、進化の鍵となる主要技術[クリックで拡大] 出所:ソニーグループ

 「モバイルイメージングは、引き続きテクノロジードライバーとして位置付けられていて、技術進化の予知が大きい領域だ。ユーザーに新たな撮影体験を提供すべく、中長期にわたり開発を進めていく」(清水氏)

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