ST、車載用6軸MEMSモーションセンサーを発表:内蔵の機械学習コアで直接AI処理
STマイクロエレクトロニクスは、機械学習コアを内蔵した車載用6軸MEMSモーションセンサー「ASM330LHHX」を発表した。車両の動きや姿勢を高精度に検出することができ、より高度な自動運転を実現するための機能を提供する。
「高性能」と「低消費電力」の動作モードを用意
STマイクロエレクトロニクスは2022年6月、機械学習コアを内蔵した車載用6軸MEMSモーションセンサー「ASM330LHHX」を発表した。車両の動きや姿勢を高精度に検出することができ、より高度な自動運転を実現するための機能を提供する。
ASM330LHHXは、3軸加速度センサーと3軸ジャイロセンサーを1パッケージに集積した。機械学習コアを内蔵したことで、AI処理をセンサー上で速やかに実行することができる。アプリケーションプロセッサやクラウドベースのAI処理に比べ、極めて少ない電力消費でリアルタイム性能を実現することが可能になった。
ASM330LHHXは、動作モードとして「高性能モード」と「低消費電力モード」を備えている。これによって、さまざまな用途に適した性能や機能を提供することが可能になった。例えば、「高性能モード」は、高精度の測位やV2X通信、衝撃検出など、高精度かつ低遅延が要求される用途に適している。
一方、「低消費電力モード」では、加速度センサーとジャイロセンサーを両方動作させても、消費する電力は800μA未満だという。テレマティクスや盗難防止システム、モーションアクティベート機能など、常時動作を行う用途に適しているという。
ASM330LHHXは、独自のMEMS技術を用いて製造する。これによって、アラン分散(AVAR)測定値が低く、優れた安定性と低ノイズを実現した。車載用半導体の信頼性規格「AEC-Q100」にも準拠、動作温度範囲は−40〜105℃である。
パッケージは外形寸法が2.5×3×0.83mmの14端子LGAで供給する。1000個購入時の単価は約10.44米ドル。システム開発を支援するための「評価ボード」や、無償の「ソフトウェアサンプルライブラリー」も用意した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ST、LED照明向けのデジタル電源制御ICを発表
STマイクロエレクトロニクスは、LED照明機器などに向けたデジタル電源制御IC「STNRG012」を発表した。 - 新たな宇宙空間向け低コストICを開発、STマイクロ
STMicroelectronics(以下、ST)の耐放射線ICの最新シリーズは、地球低軌道(LEO)での使用を念頭において設計された、最大50キロrad(Si)の耐放射線性を備えたプラスチックパッケージである。これにより、次世代衛星では、比較的安全なLEOから地球観測とブロードバンドインターネットの提供ができるようになる。従来の宇宙空間に別れを告げ、新たな宇宙空間を活用する時が目前に迫っている。 - ST、第3世代技術によるMEMSセンサー4製品を発表
STマイクロエレクトロニクスは、同社で第3世代と呼ぶMEMS技術を用いた「MEMSセンサー」4製品を発表した。スマートフォンやスマートウォッチ、FA、ヘルスケア機器などの用途に向ける。 - 50万画素のBSI素子を搭載したiToF測距センサー
STマイクロエレクトロニクスは、約50万画素の裏面照射型(BSI)ピクセルアレイを搭載したインダイレクトToF(iToF)測距センサー「VD55H1」を発表した。スマートフォンやAR/VR機器、民生用ロボットなどの用途に向ける。 - ガルバニック絶縁型ゲートドライバーICを発表
STマイクロエレクトロニクスは、デュアルチャネルのガルバニック絶縁型ゲートドライバーICとして2製品を発表した。IGBT向け「STGAP2HD」と、SiC(炭化ケイ素)パワーMOSFET向け「STGAP2SICD」である。 - ST、GaNパワー半導体で新たに2ファミリを投入
STマイクロエレクトロニクスは、GaN(窒化ガリウム)パワー半導体の新しい製品ファミリとして「G-HEMT」および、「G-FET」を発表した。新製品は民生機器や産業機器、車載機器向け電源の高効率化や小型化を可能にする。