米パデュー大学、半導体専門の学位プログラムを開始:次世代のエンジニア育成に向け
米Purdue University(パデュー大学)は、米国が半導体産業の再建を目指していることを受け、米国初となる半導体工学の“包括的”学位プログラムを立ち上げた。
米Purdue University(パデュー大学)は、米国が半導体産業の再建を目指していることを受け、米国初となる半導体工学の“包括的”学位プログラムを立ち上げた。
パデュー大学で電気およびコンピュータ工学の教授を務めるMark Lundstrom氏は米国EE Timesに対して、「半導体需要の増加に対応するために、今後5年ほどの間に米国で13の新しい半導体工場(ファブ)が建設される見通しで、約5万人の半導体エンジニアが新たに必要だと予想される。これは、米国の大学が現在育成している半導体エンジニアの2倍以上である」と語った。
IntelやSamsung Electronics、TSMCは、需要の急増を見越して、世界中のファブロジェクトに数百億米ドル規模の投資を行い、半導体業界をリードしている。つまり、半導体エンジニアは、米国だけでなく世界中で不足すると予想されている。Lundstrom氏は、「米国最大の工科大学の1つであるパデュー大学は、卓越した包括性と規模を持つ半導体プログラムを目指している」と述べている。
半導体企業のCEO(最高経営責任者)らは、パデュー大学の取り組みを支持している。
半導体企業の幹部数人は、パデュー大学が同プログラムをどのように実施するかについて、Lundstrom氏や他の教育者と毎週のように議論を重ねているという。半導体企業は、幅広い分野の知識を持つ新入社員を求めている。
Lundstrom氏は、「企業との話し合いで、電気エンジニアやコンピュータエンジニア、機械エンジニア、産業エンジニア、材料エンジニア、化学エンジニアなど、非常に幅広い人材が必要とされていることが分かった」と述べる。パデュー大学の戦略は、さまざまなエンジニアリング部門の学生をマイクロエレクトロニクス分野に引き込み、半導体業界がキャリアとして検討する価値があることを奨励するものだ。
半導体学位プログラム(Semiconductor Degrees Program、SDP)は、大学院生と学部生を育成するもので、パデュー大学の学位と資格を取得できる。
パデュー大学の工学部は、次の3つの方法でシード資金を提供することでSDPを支援する。具体的には、1)半導体企業での共同研究やインターンシップに備える学部生向けの夏季コース、2)大学院生と学部生がファウンドリーで半導体設計を行えるようにするテープアウトプロジェクト、3)複数の分野にまたがる新しい修士課程の学生向けの奨学金、の3つである。
大学のコースでは、化学エンジニアリング、ツール/装置開発、熱管理、パッケージング、材料工学の他、物流や製造最適化なども含めた、サプライチェーンに関する課題も取り上げる。
SDPの学生はSoC(System on Chip)設計、ヘテロジニアスインテグレーション、次世代デバイスといった専門的な分野にも焦点を当てて、研究テーマをカスタマイズすることができる。
パデュー大学には、「Birck Nanotechnology Center」や、Lundstrom氏が創作した「nanoHUB」などの最先端のチップ施設がある。nanoHUBは、ナノエレクトロニクスに関するオンラインのツールで、高度な電子デバイスシミュレーションやオープンコンテンツの教育リソースにオンラインでアクセスすることが可能だ。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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