2021年のファウンドリー売上高、前年比31%増に:8インチウエハーの需要がひっ迫
米国の市場調査会社Gartnerによると、2021年の半導体ファウンドリーの売上高は、前年比31%増となる1002億米ドルに達し、半導体業界全体の成長をけん引したという。
米国の市場調査会社Gartnerによると、2021年の半導体ファウンドリーの売上高は、前年比31%増となる1002億米ドルに達し、半導体業界全体の成長をけん引したという。ファウンドリー売上高が増加した主な要因としては、シリコンウエハーの平均販売価格(ASP)が11.5%上昇したことや、出荷数量が18%増加したことなどが挙げられる。
なお、2021年の半導体業界全体の売上高は、前年比26%となる5950億米ドルだった。主に台湾や韓国に拠点を置くファウンドリー各社が、AMDやMediaTekなどのファブレス半導体メーカーからの強力な需要によるメリットを享受したとみられる。
2021年におけるファウンドリー全体の稼働率は95%を超え、特にパワーマネジメントIC(PMIC)やディスプレイドライバー、指紋センサーなどに向けた8インチウエハーの需要がひっ迫したという。現在、小型ウエハー向けの製造ツールが不足し、工場の拡張工事が制約されているため、8インチウエハーの不足状態は今後も長期にわたって続く見込みだ。
大手ファウンドリー各社では、顧客企業との間で初めて数年に及ぶ長期契約や前払い契約を締結したことにより、2021年の設備投資額が2倍に増加して過去最高を記録した。このような傾向は、この先数年間続くとみられている。
世界最大のファウンドリーであるTSMCの2021年の市場シェアは57%だったが、これは前年から約3%減少している。その理由としては、他の小規模なライバル企業と比べて、ウエハーの値上げをするタイミングが遅かったことが考えられる。TSMCは、最先端の7nm/5nmプロセスノード市場において90%を超えるシェアを獲得しており、その主な顧客企業にはAppleやAMD、MediaTekなどがある。
2021年におけるTSMCのロジックチップ生産量は、売り上げベースで世界全体の4分の1を上回ったという。その主要製品は、アプリケーションプロセッサやCPU、GPU、FPGAなどで、顧客企業にはAppleやAMD、MediaTek、NVIDIA、Qualcomm、Marvell Technologyなどが挙げられる。
一方、Samsung FoundryやPowerchip Semiconductor Manufacturing Corporation(PSMC)、Shanghai Huahong Grace Semiconductor Manufacturingなどは、2021年の売上高が約60%増と急成長して市場シェアを拡大、TSMCに追い付く勢いを見せている。
Samsungの主要顧客であるQualcommとNVIDIA、Teslaは、8nm/14nmチップの製造においてSamsungを頼みの綱にしている。またSamsungは、QualcommのSoC(System on Chip)「Snapdragon 888」シリーズや、NVIDIAの「Ampere」アーキテクチャを採用したGPU「GeForce」などの製造を新たに受注したようだ。Gartnerのレポートによれば、Samsungは2021年後半に、TSMCがわずかながら値上げを発表したことを受け、ウエハー価格を約20%値上げしたという。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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