TDK、中国のEV向け二次電池大手と合弁会社を設立:中型二次電池の事業強化図る
TDKは2022年6月20日、二次電池事業を手掛ける同社子会社と中国の車載用二次電池大手「Contemporary Amperex Technology Co., Limited」(中国福建省、以下、CATL)との間で、家庭用蓄電システムや電動二輪車、その他産業用途に適した中型二次電池の開発、製造、販売に特化した合弁会社2社を設立したと発表した。
TDKは2022年6月20日、二次電池事業を手掛ける同社子会社と中国の車載用二次電池大手「Contemporary Amperex Technology Co., Limited」(中国福建省、以下、CATL)との間で、家庭用蓄電システムや電動二輪車、その他産業用途に適した中型二次電池の開発、製造、販売に特化した合弁会社2社を設立したと発表した。
磁性素材技術を強みとした電子部品事業を中核事業とするTDKだが、近年、世界的に再生可能エネルギーへの移行やエネルギー高効率化が求められる中、同社子会社「Amperex Technology Limited(中国香港特別行政区、以下、ATL)」においてスマートフォンやタブレット端末、ノートPCなど向けの小型二次電池事業を強化。2021年4月に、今後のグローバル市場での成長に向け、「家庭用蓄電システムや電動二輪車、その他産業用途に適した中型二次電池の事業強化が必要と判断し、電気自動車(EV)向けの二次電池で世界最大手のCATLとATLとのクロスライセンス締結ならびに合弁会社設立を伴う業務提携を締結する」と発表した。
合弁会社は、二次電池セルの開発、製造、販売事業を行う「Xiamen Ampcore Technology Limited」(中国福建省厦門市)と二次電池パックの開発、製造、販売を手掛ける「Xiamen Ampack Technology Limited」(同)の2社で、それぞれ2022年6月13日、同月14日に設立した。Xiamen Ampcore Technology Limitedの資本金は50億人民元(約772億円)で出資比率はATLが30%、CATLが70%。Xiamen Ampack Technology Limitedの資本金は10億人民元(約154億円)で、出資比率はATLが70%、CATLが30%だ。
また、合弁会社の持株会社となる子会社「Xiamen Ampeak Technology Limited」(中国福建省厦門市)も2022年6月8日に設立。同社は、ATLが100%出資するTDKの完全子会社となる。
なお、TDKはEV向けの電子部品やDC-DCコンバーター、車載用充電器などの車載用電源製品の事業強化も進めており、「今後、CATLの二次電池を含む車載用のパワーユニットで当社が得意とするこれらの車載用電子部品や電源製品を提供するなど、CATLとの戦略的な協業関係の構築も進めていく」としている。
【お詫びと訂正】掲載当初、業務提携締結の発表時期を「2022年4月」としておりましたが、正しくは「2021年4月」でした。お詫びして訂正いたします。(2022年6月20日17時48分/編集部)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 売上高、営業益で過去最高を更新、TDK22年3月期決算
TDKは2022年5月11日、2022年3月期通期業績(米国会計基準)を発表した。売上高は前年比28.6%増の1兆9021億2400万円、営業利益は同49.4%増の1666億6500万円と、前年に続いて売上高、営業利益ともに過去最高を更新した。 - TDKが北上工場に新棟建設、MLCCの生産体制を強化
TDKは2022年5月10日、積層セラミックコンデンサー(MLCC)の生産能力を強化するため、TDK エレクトロニクスファクトリーズの北上工場(岩手県北上市)の敷地内に、新たに製造棟を建設すると発表した。 - 低静電容量、狭公差の車載イーサネット向け高ESD耐量バリスタ
TDKは2022年3月22日、小型、低静電容量および狭公差の車載イーサネット向け高ESD(静電気放電)耐量チップバリスタ「AVRH10C101KT4R7YA8」を開発したと発表した。ESD耐量は2万5000Vの高耐圧で、静電容量範囲は4.7±0.57pFという狭公差を実現。OPEN Allianceの、車載イーサネット100BASE-T1向けESD保護部品の規格に準拠している。 - TDK、MLCC製造用のPETフィルムをリサイクル化
TDKは、積層セラミックコンデンサー(MLCC)の製造工程で用いられるPET(ポリエチレンテレフタラート)フィルムを再利用するためのリサイクルシステムを構築した。今後、リサイクルPETフィルムの使用率を高め、廃棄物やCO2排出量のさらなる削減に取り組む。 - 大電流対応の車載PoC用インダクターを開発、TDK
TDKは2021年10月26日、「3225サイズで業界最高水準」(同社)とする大電流対応を実現した車載PoC(Power over Coax)用インダクター「ADL3225VMシリーズ」を開発し、量産を開始したと発表した。独自の構造設計によって、1M〜1000MHzの広帯域で高いインピーダンス特性も実現。「PoC用インダクターに求められる要素を高いレベルで満足した製品で、PoCの大電流化に貢献する」としている。 - 低抵抗の樹脂電極タイプMLCCを独自構造で実現、TDK
TDKは2021年9月14日、樹脂電極品ながら端子抵抗を通常電極品と同レベルに抑えた積層セラミックコンデンサー(MLCC)「CNシリーズ」の新製品を開発した、と発表した。新たにラインアップに加わったのは、3216サイズで静電容量値10μFと3225サイズで22μFの2製品で、同月から量産を開始した。