ソニー、イメージセンサーのデモを公開(産業/モバイル用):SWIRなどユニークな技術を披露(3/3 ページ)
ソニーセミコンダクタソリューションズは2022年6月17日、同社の厚木テクノロジーセンター(神奈川県厚木市)にてメディア向けイベントを開催し、同社が手掛ける各種センサーのデモを報道機関向けに公開した。本稿では、産業用途向けとモバイル用途向けのデモを紹介する。
全画素でオートフォーカスを実現
モバイル向けでは、HDR(ハイダイナミックレンジ)と高速AF(オートフォーカス)を組み合わせた「Octa PD」方式を採用したCMOSイメージセンサーのデモを行った。AFについては、撮像用の画素全てをオートフォーカスに使用できる「全画素オートフォーカス」を実現している。これにより、撮像用画素の一部(3%)のみを使用する一般的な方式のAFに比べ、高速かつ高性能なAFが可能になる。
デモでは、逆光が差し込む室内を想定して人形をセットし、全画素オートフォーカスと高性能なHDRを示した。
同センサーは、量産品に搭載されている。
エッジAI向けのセンシングプラットフォーム
ソニーセミコンダクタソリューションズは、ここ数年、ソリューション事業に注力している。その一つが、エッジAI(人工知能)センシングプラットフォーム「AITRIOS(アイトリオス)」だ。AITRIOSは、主に小売業や工場などをターゲットとしたソリューション開発のためのプラットフォームで、カメラ、ダッシュボードおよびクラウドサービスなどを提供する。
カメラには、AI処理機能を搭載したビジョンセンサー「IMX500」を使用していて、カメラ内部でデータ処理を行い、必要な情報のみ、テキストでクラウドにアップロードする。そのため、データ量も消費電力も少なくて済むというメリットがある。
デモでは、スーパーマーケットの内部を想定。商品棚に1台、天井に4台と計5台のカメラで店内を撮影し、客の軌跡や、手に取った商品、商品棚の在庫などがリアルタイムで把握できる様子を示した。
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