「センシングでも世界1位に」ソニー、吉田社長:「AI時代のキーデバイス」として注力
ソニーは2020年5月19日、オンラインで経営方針説明会を実施した。同社社長兼CEO(最高経営責任者)、吉田憲一郎氏は、イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野の成長をけん引してきたスマートフォン市場が足元で減速している状況に触れつつも、「センシングでも世界ナンバーワンを目指すという長期目標に変更はない」と語り、車載分野やAI(人工知能)活用などを推進していく方針を示した。
ソニーは2020年5月19日、オンラインで経営方針説明会を実施した。同社社長兼CEO(最高経営責任者)、吉田憲一郎氏は、イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野の成長をけん引してきたスマートフォン市場が足元で減速している状況に触れつつも、「センシングでも世界ナンバーワンを目指すという長期目標に変更はない」と語り、車載分野やAI(人工知能)活用などを推進していく方針を示した。
吉田氏はソニーグループの事業ポートフォリオについて「『人』を軸に構成している」と説明。CMOSイメージセンサーについては、「世界中の人が感想を共有するために利用しているスマホのキーデバイスであり、人と人とをつなぐ事業だ」と語った。
その上でI&SS分野の今後の経営方針については、足元のスマホ市場減速に伴い設備投資の見直しを行っているものの、「イメージングのグローバルナンバーワンを堅持しつつ、センシングでも世界ナンバーワンを目指すという長期目標に変更はない」と言及。ToF(Time of Flight)センサーのスマホ搭載が加速していることなどから、「人と人をつなぐモバイル機器でのセンシングは今後も採用が続く」と期待を示した。また、車載分野についても、引き続き注力する方針を説明。吉田氏は、現在の車載市場での同社のシェアは小さいとしながらも、「これまでスマホで培ってきた技術、AVで培ってきた技術を車載でも生かせると思っている。まだ十分に車のことを分かっていないのでしっかり学び、モビリティに貢献することができれば、長期的にはソニーの企業価値に貢献するのではないかと思っている」と語った。
イメージセンサーはAI時代のキーデバイス
説明会で吉田氏は、イメージセンサーについて、「AI時代のキーデバイスになると考えている」とし、 重点を置いて取り組むことを強調。2020年5月14日に発表したAI処理機能搭載のインテリジェントビジョンセンサー「IMX500」はその一環だとしている。また、同社はこの日、IMX500にMicrosoftのクラウドプラットフォーム「Azure」のAI機能を組み込むソリューションでMicrosoftと協業することを発表しており、吉田氏は、「この分野では世界最高水準にある当社の積層技術を生かし、人が見るためのイメージングデータから、機械が学習し判断するためのセンシングデータへと取得データを多様化し、幅広いアプリケーションに取り組んでいく」と語った。
商号を「ソニーグループ」に変更
同社はこの日、2021年4月1日付で商号を「ソニーグループ」に変更することも発表した。グループ本社機能とエレクトロニクス事業(セグメント名はエレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野)を行う「ソニーエレクトロニクス」の本社間接機能が混在していた状態から分離、再定義することが目的で、ソニーグループはグループの本社機能に特化した会社とする。「ソニー」の商号については、ソニーエレクトロニクスが継承する予定としている。
また、吉田氏は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大が及ぼす社会への影響について、「人々の価値観が大きく変わり、本質に近づくと思っている。『本当に大事なものは何か』ということを世界中の方が考えているのではないか。そしてそれは最終的に人に近づいていくのではないか」と言及。
同社はエレクトロニクス事業の方針として、リモートソリューションへの取り組み強化や、イメージング、ディスプレイ、メカトロニクスの技術を活用したメディカル事業強化を挙げており、吉田氏は、「特に安心、健康、安全に対する人々の価値観重視は強まっていくと思っている。こうした事業を育てることで、ウィズコロナの時代に成長していきたいと思っている」と語った。
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