AC/DC電源を超小型チップで実現へ、AmberSemi:Amber Solutionから社名を変更(2/2 ページ)
Amber Solutionsは2022年6月16日から、社名をAmber Semiconductor(AmberSemi)に変更することを発表した。
「電気のエンドポイント」をアップデートする
Casey氏は、「世界中のあらゆる建物の電気エンドポイントは、全てが非常に重要である。古い技術がベースとなっているため、こうした旧型のコンポーネントを最新の半導体技術で置き換えることにより、性能向上を実現する必要がある」と強調する。
「われわれは2022年第3四半期(7〜9月)にも、当社の技術を搭載した半導体チップを市場に投入する見込みだ。旧式の技術をベースにした製品を、最先端の半導体やインテリジェントアーキテクチャを適用してアップグレードしていく上で、最も効果的な方法となるだろう。当社の技術により、建造物のインテリジェント化をはじめ、あらゆる電気製品に大きな変革をもたらす」(Casey氏)
大きな変化が起きている電力/エネルギー市場
電気の供給は、これまでほぼ1世紀にわたり、主に大規模な発電所が、化石燃料や原子力エネルギー、水力発電などを用いて行ってきた。電気は現在、世界の二酸化炭素排出量全体の40%を占めている。
これらの発電所は、主に古い技術のアーキテクチャをベースにして、集中制御と、一貫した流れを維持しながら、大量の電力を消費者に継続的に供給している。エネルギー消費量は世界中で急速に増加しており、太陽光や風力、蓄電などの代替エネルギーや、既に日常的に供給されているエネルギーのより効率的な管理に対する需要が高まっている。
環境意識の高まりによって、建物への電力供給に太陽光発電などの再生可能エネルギーを使用したいと考える政府や個人が増えている。その結果、太陽光発電システムの設置が進んでいるが、再生可能エネルギーは本質的に出力が変動するものである。再生可能エネルギーの大幅な増加に伴い、電力網にデジタル通信技術を組み込んで、顧客や電力会社に必要な柔軟性を提供することが求められている。コスト削減の必要性も、代替エネルギーへの関心の高まりの大きな要因となっている。
消費者は、多様なエネルギー源を相互利用することで、さまざまな需要のピークをコントロールし、負荷が低い時にはエネルギーを転売することもできる。こうした多様なエネルギー源と家庭の相互作用は、ミクロとマクロの両方のレベルにおいて、エネルギーの需要と供給の調整に重要である。ミクロレベルでは、各家庭に電力を届けるために顧客が代替エネルギーを使用する。マクロレベルでは、スマートグリッドシナリオの下、代替エネルギーを使用して顧客がシステムにエネルギーを供給する。
今日の電力ネットワークは、再生可能エネルギー発電のピーク(例えば、夏の数カ月)に対応できる柔軟性が必要であると同時に、発電量が低下する期間中に電力システム全体が破綻するのを防ぐ必要がある。
これとは別に、既存の送電網をより効率的かつスマートなものにすることで、送電網をより有効に活用するという方法もある。この新しいアプローチに向けて、大量の電力を統合するための適切な容量を確保し、システム全体のセキュリティと信頼性を高め、負荷制御と顧客の積極的な関与に向けた手順を実装するために、AmberSemiのシリコンチップに搭載されたデジタル電力制御のような、電力網の管理/制御/保護の新たな方法が導入されている。
AmberSemiは、Infineon Technologiesなどの業界パートナーと戦略的提携を結んでいる。半導体事業者とのパートナーシップを構築し続けることが、その狙いだ。Infineon Technologiesは、AmberSemiの取り組みに対する支持を公言している。
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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