検索
ニュース

Micronの車載用LPDDR5がASIL Dの認証を取得独自の安全機能をオンチップ化

レベル5の自動運転実現への道のりは、当初の予測よりも長くなりそうだ。しかしMicron Technology(以下、Micron)は、あらゆるメモリコンテンツが未来の信頼性要件に対応できるよう、今から万全な準備を整えていく考えだという。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 レベル5の自動運転実現への道のりは、当初の予測よりも長くなりそうだ。しかしMicron Technology(以下、Micron)は、あらゆるメモリコンテンツが未来の信頼性要件に対応できるよう、今から万全な準備を整えていく考えだという。

 Micronは2022年6月21日(ドイツ時間)、同社のLPDDR5メモリが、機能安全規格「ISO 26262」で定義された機能安全要求水準(ASIL:Automotive Safety Integrity Level)のASIL-D認証を取得したと発表した。ASIL-Dは、自動車の安全性に関する安全度水準の中でも、最も厳格なレベルとされている。


MicronのRobert Bielby氏 出所:Micron Technology

 Micronでオートモーティブシステムアーキテクチャ・セグメントマーケティング部門担当シニアディレクタを務めるRobert Bielby氏は、米国EE Timesのインタビューの中で、「ISO 26262規格は今のところ、メモリのASIL規格への準拠を明確に義務付けているわけではないが、自動車安全アプリケーションにおけるメモリの重要性がますます高まっている現在、認証を獲得するのは当然のことだ」と語った。

 「われわれは3〜4年前から、業界はいずれメモリに関して、機能安全性の観点から別の見方をする必要性に迫られるだろうと認識していた」(Bielby氏)

 同氏は、「業界で初めて取得した認証と、Micron独自のオンチップ安全機能向けのアーキテクチャとを組み合わせることにより、自動車メーカーは、リスク軽減のために追加メカニズムを構築する必要性を大幅に低減できるだけでなく、自社のシステム設計を簡素化して、市場投入までの時間を短縮することも可能になる。車載エレクトロニクス分野において、過酷な環境下における機能安全性/信頼性は、非常に重要な要件だ」と述べる。

 また同氏は、「ISO 26262認証では、『既存の自動車は、まだ完全な自動化を実現できていないが、メモリ/ストレージの役割が変化しつつある』ことが認識されている」と説明する。


MicronのLPDDR5 DRAM 出所:Micron Technology

 「メモリ/ストレージの位置付けは、自動車で例えるなら“後部座席から前の座席に移動してきた”と言えるだろう。現在、自動車の運転においてデータの重要性は非常に高い。データはただ単に、インフォテインメントシステムをサポートするだけではないのだ。システム内部のいかなるエラーも、自動車の運転に重大な影響を及ぼす可能性がある」(Bielby氏)

 Micronはこれまで、同社の車載メモリ認証に関して、自動車安全分野のエキスパートであるExidaと協業してきたという。Bielby氏は、「DRAMは、機能安全の管理の面で非常に複雑化していることが明らかになっている。例えば、システム故障検出率に関しては、メーカーが、一連の特定仕様に向けて設計しなければならない」と説明した。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る