Infineon、宇宙向けのFRAMを発表:放射線耐性にも自信
電力は宇宙では貴重だ。FRAM(強誘電体メモリ)が地球から離れたところで使用されるアプリケーションにとって理想的なメモリであるのもそのためである。オペレーションの間だけではなく、デバイスがプログラミングされる際にもエネルギー消費が重要となる。そのことは、Infineon Technologies(以下、Infineon)の最新の極限環境向けシリアルインタフェース対応FRAMの主な特長でもある。
電力は宇宙では貴重だ。FRAM(強誘電体メモリ)が地球から離れたところで使用されるアプリケーションにとって理想的なメモリであるのもそのためである。オペレーションの間だけではなく、デバイスがプログラミングされる際にもエネルギー消費が重要となる。そのことは、Infineon Technologies(以下、Infineon)の最新の極限環境向けシリアルインタフェース対応FRAMの主な特長でもある。
電力以外では、放射線照射も宇宙に送られるメモリデバイスに対するもう一つの主な懸案となる。Infineonは、自社のQML-V認証FRAMが「宇宙産業初」(同社)の放射線耐性を強化した製品(Rad-Hard製品)であると主張する。
Infineonの航空宇宙・防衛部門バイスプレジデント兼フェローであるHelmut Puchner氏は、米国EE Timesとのインタビューの中で、同社の最新のRad-Hard FRAMデバイスについて、「卓越した書き込み能力を備えており、必要とする電力は、宇宙アプリケーション向けの他の選択肢(EEPROMやシリアルNOR型フラッシュメモリなど)よりも少ない」と述べた。また、少ないコンポーネントでも性能を高められる上に、信頼性の面でも妥協することのないシステムデザインをサポートするという。
Infineonの新しいFRAMはSPI(Serial Peripheral Interface)を備え、記憶容量は2Mバイト。耐久性が非常に高く、宇宙アプリケーションにおいて100年以上データを保持できるという。Puchner氏によると、読み書きサイクルは10兆回で、85℃におけるデータ保持期間は120年、動作電圧は2.0〜3.6V。
同FRAMのデータ保持特性は、宇宙用アプリケーションにとって好ましい。こうした特性には、ミッションクリティカルなデータのデータロギング、テレメトリーストレージ、コマンドや制御キャリブレーション向けのデータストレージが含まれる。Puchner氏は、「衛星の寿命は25年に及ぶ可能性もある」と述べる。そのため、摩耗や電力消費が少なく、かつ頻繁なアップデートも可能である必要がある。
商業宇宙船の打ち上げが増えるのに伴い、宇宙で利用されるメモリの市場は成長しつつある。それでも、Puchner氏によれば、メモリ売上高全体に占める割合はいまだに比較的小さいという。
FRAMは、数十年前から存在している新しい不揮発メモリの一つだ。低消費電力であることから、関心は高い。FRAMが備える本質的な堅ろう性は、過酷な環境下でも確実な動作を重視する宇宙用途でも重要視されている。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- データを高速書き換え、8MビットQuad SPI FRAM
富士通セミコンダクターメモリソリューションは、54Mバイト/秒の高速データ書き換えを可能にした、メモリ容量8MビットのQuad SPI FRAM「MB85RQ8MLX」を開発、サンプル出荷を始めた。 - 8MビットFRAM開発、書き込み回数は100兆回保証
富士通セミコンダクターメモリソリューションは、消費電力を抑えつつ高速動作を可能にした8MビットFRAM「MB85R8M2TA」を開発、サンプル出荷を始めた。書き込み回数は100兆回を保証する。 - 容量8MビットのReRAMを製品化
富士通セミコンダクターは2019年7月30日、抵抗変化型メモリ(以下、ReRAM)として8Mビット容量品を2019年9月から販売すると発表した。同社では「ReRAMの量産製品としては世界最大容量」としている。 - 混載MRAMの高速読み出し/書き換え技術を開発
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2022年6月16日、スピン注入磁化反転型磁気抵抗メモリ(STT-MRAM、以下MRAM)の高速読み出し/書き換え技術を開発したと発表した。同技術を適用した32MビットのMRAMメモリセルアレイを搭載したテストチップでは、150℃の接合温度でランダムアクセス時間5.9ナノ秒、書き換えスループット5.8Mバイト/秒を達成。 - Micron、2022年末までに232層3D NANDを製造開始
Micron Technology(以下、Micron)の幹部は5月12日(米国時間)、投資家向け説明会「Mircon Investor Day 2022」で、2022年末までに第6世代の232層3D(3次元)NAND型フラッシュメモリの製造を開始する計画など、同社の展望について語った。