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株価データベースを「Docker」で作ってみる「お金に愛されないエンジニア」のための新行動論(4)(6/12 ページ)

今回は、株価情報のデータベースを「Docker」で作ってみます。長いエンジニア生活で私が学んだこと――。それは、「自力で作らなかったものは、結局、自分の”モノ”にはならない」ということです。だからこそ、やってみるのです。

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江端の作戦「『市場で闘わない』という闘い方」

 というわけで、今回の連載での私の投資の方針は、「『市場で闘わない』という闘い方」で行こう、と思っています。

 投資対象を、株、債券、証券などの単体商品に一本化すれば、運用や管理がしやすいです。債券や証券はリターンが小さいですが、リスクも小さいです。比して、株は、大きなリターンが期待できる反面、損害も大きく、最悪、会社が倒産してしまうリスクもあります(いわゆる”紙くず”)。これらの闘い方は、短期勝負型と言えるでしょう。

 これらの商品を複合的に組み会わせて運用する、いわゆる「ポートフォリオ型」の運用は、上記のリスクを小さくすることができますが、自分で運用するとなると、定期的に商品の比率を変えるなどの戦略が必要となり、組み合わせも無限数になりますので、それなりに頭と気を使います(つまり”面倒くさい”)。

 上記の2つに対して、『ほったらかし投資』という名前でよく登場するのが、投資信託の商品です。これは、プロの運用能力を含めた(信託した)商品となっております。プロの投資家でもコケることはありますが、まあ、私のような素人が、ポートフォリオを組むよりは、マシな運用をしてくれるだろう、という期待は持てます。

 ただ、信託された側(プロ)からすれば、当然、「大勝負」などはしないので、リターンはそれほど大きくはなく、長期型投資に向いています。

 また、これらの投資信託の商品を数個選び、自分で、ポートフォリオとして組み立てて運用していく、ハイブリッドなやり方もあると思います。私(江端)は、半分「丸投げ」、半分「自己判断」の、ハイブリッド運用を目指してみたいと考えています。

 もう一つの江端の運用方針としては、「人の話を聞かない」をベースにしたいと思っています。特に、手数料で稼ぐ側の人間の話は「絶対に聞かない」ようにします。それらの人の話は、自分の利益にバイアスがかかるからです。なにより、どうせ失敗するなら、自分の無知と無能だけで、キッチリ失敗したいからです。



 さて、ここまでの内容をまとめてみたいと思います。

(1)この連載で私が相手にしている金融商品には、リスクについて全く配慮されていない商品(株価、債券、国債)のようなものもあれば、金融工学の技術(数学)を用いて、リスクや収益性が組み込まれている商品(デリバティブ、投信信託)もある。

(2)金融工学の技術によって作られている商品には、”99%”をベースとして考える値(VaR値)を用いているものがあり、商品の買い手と売り手の両方の安全の担保を目的としている。ただし、99%の安全の範囲外で、巨額の損失(と利益)が発生しうるし、実際に発生している

(3)金融工学による商品は、高度の複雑な数式や数値を用いているため、ほとんどの人間には理解できない内容となっている。このような商品は、人間の心理(市場のパニック)にはほとんど無力であり、簡単に世界中を巻き込む金融危機の引き金となってしまう(リーマン・ショック)。

(4)数式や数値を駆使して人工的な安全を作り出しているが、その内容が全く理解できない商品よりも、市場の相場と連動して、かつ専門家のチェックが入る「インデックス&信託」の商品の方が、私のような市井(しせい)のアマチュア投資初心者にはよさそう。

 今回の連載のための勉強で、「なるほど、金融商品とは、こういうものなのか」というのが、ぼんやりと分かってきました。これが分かったら、どうなるというものでもないのでしょうが、商品の作り手のことが分かると、その商品がより身近に感じることができました ―― けど、それは私だけでしょうか?

 私は、商品の製造プロセスを紹介する番組やコンテンツ(例えばこちらなど)を見るのが大好きですが、嫁さんは、「商品の製造プロセスなんぞには、1mmも興味がない」と言い放っています。

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