HDD大手SeagateとWDの2022会計年度業績、前年に続き増収増益を達成:福田昭のストレージ通信(227)(2/2 ページ)
今回は、Seagate TechnologyとWestern Digitalの2022会計年度の業績を説明する。
WDの年度業績は3年連続の増収増益に
ここからはWD(Western Digital)の2022会計年度業績を説明しよう。売上高は前年比11.1%増の187億9300万米ドル、営業利益(GAAPベース)は同96.0%増の23億9100万米ドルである。3年連続で増収増益となった。粗利益率(GAAPベース)は31.3%で、前年の26.7%から4.6ポイント上昇した。売上高営業利益率は12.7%で前年の7.2%から5.5ポイント増えた。
WDのストレージ事業は主に、NANDフラッシュメモリ応用品(フラッシュ応用品)とHDD製品で構成されている。売上高の比率は粗く表現すると半々である。もちろん四半期ごと、年度ごとの変動はある。四半期ベースで見るとフラッシュ応用品の変化が比較的大きい。
過去5年を四半期ベースで見ると、フラッシュ応用品の売り上げが最低だったときは15億600万米ドル(2019年6月四半期)、最高だったときは26億4200万米ドル(2017年12月四半期)で、1.75倍の開きがある。HDD製品の売り上げが最低だったときは18億4400万米ドル(2020年9月四半期)、最高だったときは27億5400万米ドル(2018年6月四半期)で、両者の開きは1.49倍と少ない。直近の3四半期は、フラッシュ応用品の売上高がHDD製品の売上高を上回っている。
フラッシュ応用品の売り上げが2年連続で増加
2022会計年度(2022年6月期)の売上高に話題を戻そう。フラッシュ応用品の売上高は前年比12.0%増の97億5300万米ドル、HDD製品の売上高は同10.0%増の90億4000万米ドルである。フラッシュ応用品が2年連続で増加し、HDD製品を上回った。
用途別では「クラウド」(パブリックあるいはプライベートのクラウド向け)が前年比40%増の80億1700万米ドル、「クライアント」(直接販売、あるいは代理店経由の販売によるOEM向け)が同3%減の70億7600万米ドル、「コンシューマー」(リテールその他の販売チャンネルによる一般消費者向け)が同6%減の37億米ドルである。フラッシュ応用品とHDD製品ともに、クラウド向けが好調だ。
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