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老後を生き残る「戦略としての信仰」は存在するのか「お金に愛されないエンジニア」のための新行動論(6)(10/12 ページ)

今回は、「老後を生き残る「戦略としての信仰」」をテーゼに掲げて検討していきます。宗教は果たして私を幸せにしてくれるのか――。それを考えるべく、「江端教」なる架空の宗教団体をベースに話を進めます。

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求む、「見える化」

 さて、カルト宗教団体の話に戻りますが、私、安心・安全な老後のためであれば、霊感商法だって、なんだってやるつもりではあります。仮にそれが、非人道的で、反社会的であったとしても、私以外の人のことは、二の次です。私にとって、常に大切なのは、この私です。

 献金してもいいし、財産を譲渡してもいいし、社会的に弱者の人を喰い物にしても構わないのですが、それでも、キャッシュフローが自分自身で確認できない、というのは、なんとも気持ちが悪いなぁ、とは思います。

 教団の幹部になって会計やその監査部門に就任できれば良いのですが、大学時代から、一生をささげてがんばってきた古参の信者に、シニアで新人の信者となる私が、その立場になることは不可能だと思います。

 仮に、出所が怪しく、違法性の高いキャッシュ(お金)であったとしても、そのキャッシュフローと、そのシステムをきちんと理解した上で、教団の暗躍・・・もとい、教団の教義を実践したいのです。

 つまり、私が教団に期待することは、「見える化」です。

 教団に入会するのであれば、小さい教団よりも大きい教団の方が安心でしょう。あと信者であれば、修行は避け得ないと思いますが、メンヘラを発生させるような過酷な修行は御免です。特に、修行をするなら、その内容の意義と目的がクリアでないと、私はやる気がでませんので、そこもお願いしたいところです。

 あと、なけなしの財産をはたいて、世俗から離れるのですから、一定のQoL(Quality of Life)は保証してもらいたいです。最低限のプライバシーの確保も要求したいです。

 今や時代は、オープン化、透明化です。教団の活動内容を、暗黒面も含めて公開することで、新規信者の獲得に貢献すると思います。あと、教団のKPI(Key Performance Indicator)などもきちんと設定して、中長期計画を、定期的に信者と社会に公開した上で、世間の常識と闘って、新しい価値観を作り出す、くらいの気概のある宗教団体への入会を希望します

 信者となった以上、寄進した財産や不動産の運用リターンを要求することはありませんが、どのように運用されているかの現状報告は、きちんと説明してもらいたいと思います。もちろん、よりよい教団運用のために「もの言う信者」として、教団に積極的に関わりたい、と思っています。

 あと、教団に「誠実であること」を要求します。これは、「知ったかぶりをしない」ということであり、「知らないことは知らない」「分からないことは、分からない」と、ちゃんと言えること、です。

 教義の薄っぺらな教団は、科学的な現象を、宗教的な話を無理に持ち込んで、自分の無知を露呈して、思いっ切り恥をかいています(少なくとも私は冷笑し、軽蔑しています)。

*)関連記事:「量子もつれ 〜アインシュタインも「不気味」と言い放った怪現象

 それでは、多くの信者はだませても、私のようなエンジニア出身の信者は、だませません ―― というか、教団の不誠実さに、失望してしまうでしょう(あるいは、教祖に忖度(そんたく)して、そういう無理なロジック作りに協力しているエンジニアの信者がいるのかもしれません)。

 残念ながら、現時点で、私の要求を満足するような宗教団体は、発見できておりません。これらの条件の全てを見たす教団でなくても構いません。宗教団体の皆様におかれましては、ぜひ、江端へのプレゼンテーションをお願いしたいと思います。

 あなたの教団が、日本中のどこにあれ、私は、自腹を切って、ヒアリングに参上させて頂く所存でございます。



 それでは、今回のコラムの内容をまとめてみたいと思います。

【1】今回は、「お金に愛されないものは、何をしても愛されない」という開き直りから、「お金がなくても、幸せな余生をすごせる方法を検討するべきではないか?」に考えがシフトさせて、老後を生き残る「戦略としての信仰」を検討してみることにしました。

【2】「戦略としての信仰」を考えた上で、反社会的、反モラルで、違法行為に及ぶこともある、「カルト宗教」にスコープをロックしました。常識的なアプローチで、この江端の危機的状況を打破するのは難しいと考えたからです。

【3】これまでの人生で、いろいろなカルト宗教を調べてきた私は、今回、架空のカルト宗教団体「江端教」(教祖:江端智一、通称:”エバ・カンターレ”、位置付け:”メシア the final”、教義:”エバタ・プリンシプル”)を立ち上げて、その概要の解説を試みました

【4】カルト宗教団体とは、(1)オリジナルの教義を『剽窃(ひょうせつ)した上で、上書き』し、(2)イエスでも、ブッダでも、アッラーでもなく、私こそが”メシア the final”であると言い放つ教祖がいて、(3) オリジナルの教義は未完成であるが、私の教えで神の国が完成すると、言ってのけ、 (4)法外な値段の物品セールスや、自己破産を看過する寄付などを、真剣に、心の底から”救済活動”と信じている、新興宗教団体である、と断じました。

【5】私が、このようなカルト宗教団体に入会する場合、最大の関心が、私の終末期の取り扱い(入院、介護、メンタルケア)であることを明確にした上で、これを保証している宗教教団は、一つも見つけられていないことを報告しました。また、私は、「このようなカルト宗教団体で、結構役に立つよ」という自己アピールもしました。

【6】最期に「江端が入会したいと思う(カルト)宗教団体」の要件を並べました。(1)QoLやプライバシーが担保されていること、(2)教団のアクティビティがオープンになっており、(3)特にキャッシュフローがきちんと開示されること、そして、(4)科学的な現象を使った無茶な宗教的解釈を行わない、などの各種の条件を書き出した上で、全ての宗教団体に対して、江端に対するプレゼン実施をお願いしました


 以上です。

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