米国の新たな対中国半導体規制、効果に疑問の声:影響は西側諸国にも(3/4 ページ)
米商務省が、最先端の半導体製造技術の世界輸出に関する新たな規制措置を発表した。AlibabaやBaiduなどの中国半導体メーカーをターゲットにする。しかし、長年にわたり半導体業界に携わってきた観測筋は、「その効果はかなり誇張されており、少なくとも中国メーカーの成長を鈍化させる可能性は低いだろう」とみているようだ。
成長を続ける中国メーカー
Hutcheson氏によると、今回のEDAに関する自身のコメントは、業界の経営幹部たちとのプライベートな会話に基づいたものだという。また同氏は、中国で最も注目を集めている最大手のEDAメーカーとして、HejianやAmedac、Aerdai、X-Epicなどの名前を挙げている。
「中国メーカーは、28nm以上のプロセスでは競争力が非常に高く、14nmプロセスでの競争力も持つというレベルに達していると耳にする。私の個人的な見解としては、こうした開発ペースから、SMICが今後3〜4年間で3nmおよび2nmプロセス技術を実現できた場合、中国メーカー各社も3〜4年内に、最先端技術に到達するのではないかとみている」(Hutcheson氏)
またTriolo氏は、「バイデン政権はもっと広範な視点から、『中国国内の特定のファウンドリーが、14nm以降のプロセスや、メモリ製造において128層を超えるプロセスを適用するのを阻止するため、新たな規制が必要である』と考えているのだろう」と述べる。
中国のメモリ半導体メーカーYMTC(Yangtze Memory Technologies Corporation)の前会長代理は2020年末の時点で、「当社は2022年中に、128層技術を適用したNANDチップの製造を開始する予定だ」と発言していた。
ロイター通信によると、米上院議員のCharles Schumer氏と民主党の幹部たちは、YMTCをブラックリストに載せるよう要望しているという。米国EE Timesはこの報道内容の裏付けを取ろうと試みたが、Schumer氏の事務所からは返答を得られなかった。
Triolo氏は、「米国は、今なお存在する暗黙の目標として、製造分野において、中国を、米国や他の西側企業から2〜3世代後れを取っている状態にとどめておきたいと考えている。しかし、新たな規制措置が実際に及ぼす影響として、米国政府が、以前は規制対象ではなかったDUVリソグラフィ装置も含め、中国国内の全ての新しいファウンドリーが製造可能なものに対して拒否権を持つことが可能になるという点が挙げられる」と述べる。
オランダのASMLは、業界唯一のEUV/DUVリソグラフィ装置メーカーだ。
商務省の輸出管理担当次官補を務めるThea D. Rozman Kendler氏は、事前に準備した資料の中で、「世界貿易をけん引するのは、古い手法に対して新しいアイデアや斬新な手法を適用する、イノベーションだ。BISは、新しく開発された技術が、民生/軍事用として使われる可能性があるかどうかを慎重に評価している。輸出規制は、多国間で課すことによって最も効果を発揮するのだ」と述べている。
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