画像記憶用小型フラッシュメモリカードの戦国時代が始まる(1995年〜1996年):福田昭のストレージ通信(231) フラッシュメモリと不揮発性メモリの歴史年表(12)(1/2 ページ)
今回は、画像記憶用小型カードが相次いで開発された、1995〜1996年を扱う。
小さなフラッシュメモリカードに画像データを記録
フラッシュメモリに関する世界最大のイベント「フラッシュメモリサミット(FMS:Flash Memory Summit)」の会場では最近、「Flash Memory Timeline」の名称でフラッシュメモリと不揮発性メモリの歴史年表を壁にパネルとして掲げていた。FMSの公式サイトからはPDF形式の年表をダウンロードできる(ダウンロードサイト)。
この年表は1952年〜2022年までの、フラッシュメモリと不揮発性メモリに関する主な出来事を記述している。本シリーズではこの歴史年表を参考に、主な出来事の概略を説明している。原文の年表は全て英文なので、これを和文に翻訳するとともに、参考となりそうな情報を追加した。また年表の全ての出来事を網羅しているわけではないので、ご了承されたい。なお文中の人物名は敬称略、所属や役職などは当時のものである。
前々回と前回は、ICレコーダーの開発に関するエピソードを報告した。1994年に世界初のICレコーダー(フラッシュメモリを記憶媒体として内蔵する携帯型デジタル音声記憶再生装置)を発明したNCC(Norris Communications Corp.)は製品開発における大トラブルで事業には失敗するものの、エレクトロニクス大手への特許侵害訴訟を2008年に起こし、2009年にはライセンス契約などで和解を勝ち取る。
今回は歴史年表に戻ろう。年表ベースの記述だと、本シリーズの第9回が前回に相当する。前回(第9回)の時間軸(タイムライン)は1993年〜1995年である。今回は1995年の続きと、1996年の主な出来事を扱う。フラッシュメモリの特徴である不揮発性を活用した、小型の補助記憶カードが相次いで登場し、デジタルスチルカメラを主戦場に競争が始まった時期だ。
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