「汎用FPGAの空白を埋める」、Efinixの成長戦略を聞く:CEO独占インタビュー(2/5 ページ)
FPGAはかつては2社が独占していたが、現在は60億米ドルを超えるFPGA市場のさまざまな隙間を埋めようとする企業が数多く存在する。そうした企業の1つで、近くナスダック上場も計画する成長企業EfinixのCEOに、米国EE Timesが独占インタビューを行った。
「Efinixをあらゆるところに」
――Efinixとしては、成長資金を拡大する必要があるため、上場について検討し始めているのは間違いないというところだろうか。一企業として、どのような野心を抱いているのかを伺いたい。
Cheung氏 「Efinixをあらゆるところに(Efinix everywhere)」という当社の企業理念を追求していきたい。つまり、自らの力だけでなくパートナーとも協業することによって製品を作り上げ、古い技術を置き換え、高効率化を実現するということだ。最も重要かつシンプルな目標の1つとして、FPGAの小型化と低消費電力化、低コスト化だけでなく、高密度化/高性能化へのスケーラビリティも実現していきたい考えだ。
このような組み合わせは、これまで業界には存在しなかった。TSMCやSamsung Electronicsのような先端ファウンドリーで汎用カスタムチップを作ることが非常に難しいということは誰もが認識している。FPGAはかつて期待されていたが、既存のプレーヤー企業は現在、ハイエンド市場への注力を強化しているところだ。このため、汎用デバイスの分野に大きな空洞が残されている。
その対極の疑問点として、「なぜマイコンの使用を継続しないのか」ということがある。問題なのは、業界では現在、AI(人工知能)や機械学習、データ処理などに注目が集まっているため、企業は一部の性能要件を達成すべく、ますます高額かつ非柔軟なデバイスを作り上げるためにカスタマイズしなければならないという点だ。
しかし、もし当社のような企業が、もっと小型のFPGAを簡単に製造することができるとしたらどうだろうか。われわれは現在、それを目指して取り組んでいるところだ。これまで、40nmから16nmまで実現してきたため、次のステップとして5nmを目指す。現在取り組んでいる問題は、「どのようにすれば、高コストのプロセスを主流派技術として提供し、ROI(Return On Investment:投資利益率)を確保することが可能になるのか」という点だ。
われわれは、AlteraやXilinxのようになろうとしているわけではない。両社はいずれも素晴らしいメーカーだが、当社としては、60億米ドル規模のFPGA市場に対応するだけにとどまらない、異なる位置付けを目指している。当社のRISC-Vプラットフォームを組み合わせることにより、汎用プロセッサやASIC市場も含めより大規模な市場へ拡大できると確信している。
――現在、1000社の顧客を抱えているということだが、「Efinixをあらゆるところに」という理念の実現には、はるかに大きな数が必要だ。では、どのように、どのようなビジネスモデルでそれを実現するのか。
Cheung氏 世界は、これまでとは違うビジネスモデルを待っていると考えている。従来型のビジネスモデルは、成功はしてきたものの、非常にとらわれたものである傾向があった。従来のやり方を踏襲するなら、自社のために働く従業員を1万人、10万人と雇わねばならなくなる。当社は、もう少しハイブリッドなアプローチを採るつもりだ。
長期的には、収益の約15〜20%が「プラットフォーム」の売り上げになると予想している。基本的には汎用FPGAデバイスに焦点を当てるが、異なるアプリケーションに関してさまざまなパートナーシップを結び、より大きな市場に対応できるように、製品マトリックスを十分に拡大していく計画だ。
それには、十分な規模の製品マトリックスを、何十年もの歳月を費やすことなく用意する必要がある。そのため、Alteraの時のような、全てが自社製で非常に複雑なキャプティブモデルを採用しないことが基本となる。当社のテクノロジーは移植性に優れている。重要なのは、標準的な製造プロセスを使用することだ。また、当社のソフトウェア構造は、多くの異なるデバイスをより安く、より短時間で、より経済的に構築できるため、より多くのプラットフォームパートナーシップを結ぶことが可能になる。
これは、ライセンス提供ではない。ライセンス提供は機能しない。家を建てるのと同じように、誰もが独自の仕様を盛り込めることが必要だ。こうしたアプローチでは、適正な期間(例えば5〜10年)で、大規模な製品マトリックスを構築することができる。
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