レーダー技術の印Steradianを買収したルネサスの狙い:「完全な車載レーダーシステム」開発へ
半導体企業がポートフォリオの重要部分と見なしている車載技術は数多くあるが、センサーフュージョンはそうした技術の一つだ。ルネサス エレクトロニクスは最近、ADAS(先進運転支援システム)向けオールラウンドソリューション提供という使命を果たすべく、インドのSteradian Semiconductorsを買収して、4Dミリ波帯イメージングレーダー技術をポートフォリオに追加した。
半導体企業がポートフォリオの重要部分と見なしている車載技術は数多くあるが、センサーフュージョンはそうした技術の一つだ。ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は最近、ADAS(先進運転支援システム)向けオールラウンドソリューション提供という使命を果たすべく、インドのSteradian Semiconductors(以下、Steradian)を買収して、4Dミリ波帯イメージングレーダー技術をポートフォリオに追加した。
ルネサスの車載担当シニアバイスプレジデントを務めるVivek Bhan氏は、「当社はSteradianの買収を通じてレーダー技術に投資している。レーダー市場は急成長しており、ルネサスは車載と産業の両市場でレーダーにおけるプレゼンスを拡大していきたいと考えている。今後は、Steradianの資産を活用して、独自の車載レーダー製品を開発する計画だ。これは、既に車載分野で行っている取り組みを補完し、レーダー市場での事業展開を可能にするための戦略的買収である」と米国EE Timesに語った。
Bhan氏は、「車1台当たりに搭載されるセンサー数の増加およびプロセッサの高性能化によって、センサーフュージョンは加速している」と述べる。カメラやレーダー、LiDAR(光検出と測距)など複数のセンサーのデータを組み合わせることで、車両周辺の物体を高精度かつ正確に検出できるようにするために、車載センサーフュージョンの需要は高まっている。
特にレーダーは、過酷な天候などの悪環境下でも、昼夜を問わず遠距離の物体を正確に検出できる。こうした理由から、レーダーはADASにとって不可欠なセンシング技術と考えられている。
23年に車載プロトタイプ作製、25年末に量産開始
Bhan氏によると、ルネサスは2018年にSteradianとの協業を開始しており、このパートナーシップが買収の話し合いにつながったという。Steradianは2016年にインドのベンガルールで設立され、半導体を含むレーダー技術の専門知識を深めてきた。76G〜81GHz帯で動作する4Dレーダートランシーバーは、小型のフォームファクターでの高レベルの集積度と高い電力効率を提供するという。
ルネサスは、Steradianの設計資産と専門知識を、車載レーダー製品開発に活用したい考えだ。レーダー信号を処理するADAS SoC(System on Chip)とパワーマネジメントIC(PMIC)、タイミング製品を物体認識用ソフトウェアと組み合わせた完全な車載レーダーソリューションの開発を目指している。
これらのソリューションは、車載レーダーシステムの設計を簡易化し、製品開発の迅速化に貢献することを目的としたものである。
ルネサスは、2023年早々に車載プロトタイプを作製し、2025年末に量産を開始する予定だ。
さらに、両社が2018年に着手した取り組みから、2022年末に向けてSteradianのトランシーバーモジュールをベースにした最初の製品のサンプリングを開始する予定だという。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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