Intelのファウンドリー「No.1」顧客、米国防総省がGAAに照準:米国での優位確立目指すIntel(1/3 ページ)
Intelの新しいファウンドリー部門であるIntel Foundry Services(IFS)のプレジデントを務めるRandhir Thakur氏は米国EE Timesに対して、「米国防総省(DoD)はIFSの“No.1”の顧客だ。IFSはDoDの最先端異種統合パッケージ(SHIP)プログラムに参加する計画だ」と語った。同プログラムには、高トランジスタ密度の3Dチップを促進するGAA(Gate-All-Around)技術に関する深い知識が必要となる。
Intelの新しいファウンドリー部門であるIntel Foundry Services(IFS)のプレジデントを務めるRandhir Thakur氏は米国EE Timesに対して、「米国防総省(DoD)はIFSの“No.1”の顧客だ。IFSはDoDの最先端異種統合パッケージ(SHIP)プログラムに参加する計画だ」と語った。同プログラムには、高トランジスタ密度の3Dチップを促進するGAA(Gate-All-Around)技術に関する深い知識が必要となる。
「年間約30億米ドル規模」、IFSにとって大きなメリットに
IFSはDoDとの間で、半導体の設計と開発を提供する2億5000万米ドルの初期契約を結んでいる。Thakur氏は、Intelが米国オハイオ州コロンバスに建設する最新工場のプロジェクトに合わせて行われたインタビューで、「IFSが特定の国家安全保障基準を満たすことができれば、次の段階として製造にも関与することになる。契約の規模は定かでないが、はるかに大きな額になる見通しだ」と語った。
Thakur氏は、「DoDはいくつかの半導体を作っているが、製造はより機能的で安全でなければならない。IFSがDoDの厳しい品質目標を達成すれば、当社の他の顧客はもっと安心できるだろう」と述べている。
米国の市場調査会社であるTECHnalysis Researchのプレジデントを務めるBob O'Donnell氏によると、IFSがファウンドリーとしてDoDとの契約を履行できれば、IFSにとって大きなメリットがあるという。同氏は、「半導体の製造地域が地理的に非常に不均衡であることは、世界的に認識されている。半導体を大規模に製造できる企業は世界でもごくわずかで、Intelはその1つだ。同社はそれが可能であることを証明しなければならないが、それには数年かかるだろう」と述べている。
Thakur氏によると、DoDの事業は年間約30億米ドル規模になるという。2021年3月に設立されたIFSは、TSMCやSamsung Foundryなどのアジアのライバルに対して、ホームコートで優位に立ちたいと考えている。
米国防総省の海外サプライヤー依存を減らす
米国防副長官のKathleen Hicks氏は、「“中国の影に隠れて”いるが、米国が海外サプライヤーに依存していることは、より大きな地政学的リスクであり、これを減らす必要がある」と指摘している。
Hicks氏は2022年7月にホワイトハウスで行われたイベントで、「今日、DoDが依存している商用マイクロエレクトロニクスの約98%は、組み立てとパッケージング、テストをアジアで行っている」と語っていた。
防衛事業を巡って競合するファウンドリーはIFSだけではない。国防総省の信頼を得ている米国のファウンドリーであるSkyWater Technologyは2022年に、18億米ドルを投じて米国インディアナ州に半導体工場を建設する計画を発表している。
IFSは、MediaTekやAmazon、Ciscoなどの大口商用顧客を抱え、運営初年度に8億米ドルの売り上げを上げている。この数字は、トップファウンドリーであるTSMCが2021年に達成した569億米ドルに比べると小さい。MediaTekは、TSMCの最大顧客の1社でもある。
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