IBM、半導体など向けでNY州に200億ドル投資へ:ハドソンバレー地域、今後10年間で
IBMは2022年10月6日(米国時間)、半導体、メインフレームコンピュータ、量子コンピュータなどの分野で、今後10年間でニューヨーク州ハドソンバレー地域に200億米ドルを投資すると発表した。
IBMは2022年10月6日(米国時間)、半導体、メインフレームコンピュータ、量子コンピュータなどの分野で、今後10年間でニューヨーク州ハドソンバレー地域に200億米ドルを投資すると発表した。
同社は投資の具体的な内容は明かしていないが、その目標について、「ニューヨークの活気あるテクノロジーエコシステムを拡大し、半導体、コンピュータ、ハイブリッドクラウド、AI(人工知能)、量子コンピュータにおける新たな発見と可能性を切り開くことだ」と述べている。
IBMは長年にわたりニューヨーク州を本拠地としている。同社は、「半導体技術の未来は、ハドソンバレーで生まれようとしている。オールバニーは官民合同の半導体エコシステムがあり、IBMが2021年、2nmチップ技術を初めて発表した場所でもある。この共同イノベーションモデルの拡大は、CHIPS法(正式名称:CHIPS and Science Act)の一環として実施される国立半導体技術センター(National Semiconductor Technology Center:NSTC)の基礎となり得るものだ」などと説明。今回の投資について、「米国のイノベーションの未来に対するこれらの投資を基礎とし、拡大するものだ。また、ハドソンバレー全体で、最先端のシステムに携わり、発見のペースを加速させるため、あらゆる背景を持つ人々の経済成長と雇用機会を促進するだろう」とコメントしている。
この投資は同日、米国のジョー・バイデン大統領がIBMの同州ポキプシー拠点を訪問したのに合わせて発表された。
ポキプシー拠点は、1941年以来、第二次世界大戦中の軍備製造から最新世代のメインフレームコンピュータの開発/製造まで「米国がテクノロジーの変革力を取り入れるのを支援してきた」(同社)という。また、同拠点にはIBM初の量子計算センターが設置されており、同社は、「IBMのビジョンは、ポキプシーが現在のメインフレームコンピュータと同様に、量子コンピューティング開発の世界的な拠点にすることだ」としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 産総研が量子アニーリングマシン開発の成果を報告
産業技術総合研究所(産総研/AIST)は2022年9月30日、NEDOの委託事業「量子計算及びイジング計算システムの統合型研究開発」で開発を続けている量子関連のプロジェクトについて、開発成果や、開発に用いている装置などを報道機関向けに説明、公開した。 - 富士通、36量子ビット量子シミュレーターを開発
富士通は、36量子ビットの量子回路を扱うことができる、並列分散型の「量子コンピュータシミュレーター」を開発した。スーパーコンピュータ「富岳」にも搭載されているCPU「A64FX」を活用するなどして、「世界最速」を実現した。 - 「CHIPS for America Act」、無用の長物を生み出す恐れ
今後10年間で米国半導体業界を再生すべく、520億米ドルを投入する法案「CHIPS(Creating Helpful Incentives to Produce Semiconductors)for America Act」が、米国上院で可決された。現在はまだ、下院による承認を待っているところだが、ここで一度、この法案が、米国の国内製造への投資を奨励していく上で最も効果的な方法なのかどうか、じっくり検討すべきではないだろうか。 - IBMの「Telum」プロセッサ、不正をリアルタイムで検知
IBMは、トランザクション実行中にAI処理を高速に実行するためのオンチップ・アクセラレーションを搭載したプロセッサ「IBM Telumプロセッサ」について、その詳細を「HotChips」カファレンスで発表した。 - IBMがプロセス開発の“契約不履行”でGFに賠償請求か
IBMがGLOBALFOUNDRIES(GF)を契約不履行で訴え、25億米ドルの損害賠償を求めている。IBMはこの訴えをGLOBALFOUNDRIESに通告したが、米国EE Timesに対しては、まだ裁判所には提訴しておらず、従って世間に公表する準備もできていないと伝えてきた。GLOBALFOUNDRIESは既に米国ニューヨーク州最高裁判所に対し、この係属中の訴訟を価値がないものとして却下するよう申し立てを行った。 - IBMが「2nm」プロセスのナノシートトランジスタを公開
IBMは、米国ニューヨーク州アルバニーにある研究開発施設で製造した「世界初」(同社)となる2nmプロセスを適用したチップを発表した。同チップは、IBMのナノシート技術で構築したGAA(Gate-All-Around)トランジスタを搭載している。