減ることのない半導体と電子部品の偽造 ―― リスク承知の購入は危険:半導体製品のライフサイクルに関する考察(6)(1/4 ページ)
前回、偽造半導体を購入するまでの過程と、その背景などについて説明をした。今回は、そのような状況において、どのようなプロセスを踏むと偽造半導体を購入してしまう可能性が高まるのか、ということについて解説していく。
半導体の購入ルートを考える
前回、偽造半導体を購入するまでの過程と、その背景などについて説明をした。今回は、そのような状況において、どのようなプロセスを踏むと偽造半導体を購入してしまう可能性が高まるのか、ということについて解説していく。
まず、半導体を購入する際のルートについて代表的なものを図1に示す。
図1に示すルートは、すべて正規の販売ルートといわれ、ルート上のそれぞれの間(例えばオリジナル半導体メーカーと顧客または正規販売代理店、正規販売代理店と顧客の間)では、販売と購入に関する契約が締結されている。この購入ルートを使用して半導体を購入することで、オリジナル半導体メーカーが製造する製品を入手できることが保証されている。
上記で登場する正規販売代理店は、昨今のオリジナル半導体メーカーの再編に伴い、統廃合を含めた再編が起きている。また、オリジナル半導体メーカーの再編に合わせたかたちで、正規販売代理店としての契約を終了する代理店も出てきている。このような状況から、結果として、正規販売代理店の数が減少し、半導体の購入に際して、正規の購入ルートからでは必要な半導体が購入できない状況が発生するケースも起きている。
必要な半導体が購入できなくなった場合、正規販売代理店へ継続的に半導体の手配を要求しながら、その一方で、他のさまざまな手法を用いて半導体を探すことになる。その結果、通常のルートではないルート、一般的には、市場流通品と呼ばれる半導体を購入することになる。そのルートを、図2に示す。これらの販売業者は、何らかの方法で半導体を手配し販売している。
この、「何らかの方法」についてはいろいろとあるが、オリジナル半導体メーカーから購入した製品かどうかは定かではなく、販売している半導体の製造情報、製品のトレーサビィティ情報、品質情報などに関する情報が分からない場合が多い。そのため、図2では、図1に示したオリジナル半導体メーカーという表現ではなく、不明という意味の「????」と記載している。
市場流通品では、販売している半導体に関する情報が定かではない製品が販売されている。そのため、この購入ルートで購入した場合、偽造半導体を購入してしまうケースが発生する。さまざまなメディアが伝えているが、販売されている半導体に含まれる偽造半導体の割合は、およそ3割といわれている。つまり、この購入ルートで購入することは、偽造半導体を購入するリスクが高いといえる。
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