iPhone 14 Proの心臓部、「A16 Bionic」を解析する:この10年で起こったこと、次の10年で起こること(67)(3/3 ページ)
今回は2022年9月16日に発売されたAppleの最新スマートフォン「iPhone 14 Pro」のプロセッサ「A16 Bionic」について報告する。A16 BionicはiPhone 14 Proにのみ採用されている。
過去6年間の「Aシリーズ」を比較する
表1は、過去6年間のApple Aシリーズをまとめたものである。A16 Bionicは、Appleの発表によれば160億トランジスタを搭載したものになっている。6年前のA11 Bionicに比べるとおおよそ4倍弱の規模である。4年前のA13 Bionicに比べても規模はほぼ2倍となっている。微細化によって1シリコンに搭載できる回路規模が増えていることが、手に取るように明らかになっている。
同時に、微細化によってトランジスタのスイッチング速度もアップしているので、CPU周波数も6年でおおよそ1GHz高速化されている。シリコンサイズ(報告では省略)は若干の増減があるものの、Appleのプロセッサは、過去6年常に集積密度も上げている。弊社では初代「iPhone 2G」から最新のiPhone 14 Proまでの全プロセッサのデータ(写真含む)を持っている。過去15年の半導体進化史をAppleプロセッサでまとめており、セミナーなどで報告している。
表2は、2022年に発売されたハイエンドスマートフォンで採用される代表的なモバイルプロセッサの一覧だ。
ハイエンドプロセッサは、2022年いずれも4nmで製造されている。Samsung Electronics(以下、Samsung)の4nmとTSMCの4nmだ。プロセッサメーカーはQualcomm、MediaTek、Samsung、Appleの4社。最も周波数が高いプロセッサはAppleのA16 Bionicである。QualcommのSnapdragon 8 Gen1/8+ Gen 1は、Samsung製とTSMC製があるので非常に有効な比較ができるものになっている! (それぞれの差は、ぜひ問い合わせていただきたい)。2022年の後半には、Intelの「第13世代Coreシリーズ」、AMDの「RYZEN 7000シリーズ」、NVIDIAの「RTX 4090」などPC系のチップも続々発売されている。この辺りについては、次回以降報告したい。
円安などの影響もあるので仕入れコストが増加しているが、「観察なくして考察なし」をモットーに、手を緩めずに分解、解析を続けていく所存だ。
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