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「新しい資本主義」をエンジニア視点で考えてみる「お金に愛されないエンジニア」のための新行動論(8)(5/9 ページ)

今回は「新しい資本主義」について考えてみます。きっかけは嫁さんの「新しい資本主義って何だろうね」というひと言。これを調べていくと、「令和版所得倍増計画」なるものの実施が絶望的に難しそうであることが明らかになってきました。

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「幼女戦記」が面白い

 ちょっと話は逸れます。

 最近、「幼女戦記」というアニメとコミックを読んでいるのですが、これが、非常に面白いです。

(1)市場経済を信奉する中年エリートサラリーマン(♂)が、リストラされた同僚の逆恨みで、駅でホームから突き落されて死ぬ

(2)死後の神との会話で「私の信じる市場経済では、神なんぞ無用」と言い放ち、神の逆鱗にふれる

(3)「ならば信仰に目覚めさせてやる」という神の采配によって、世界大戦の禍中に、幼女/孤児(ターニャ)として転生させられ、神から、あらん限りの不条理を与えられる

(4)主人公ターニャは、その世界で稀(まれ)に現われる魔法能力を得て、幼女のまま軍隊に入隊し、神(存在X)への復讐(ふくしゅう)を誓いながら、軍人として地獄の戦場の日々を生き延びる

 繰り返しますが、この作品、面白いです ―― 第一次、第二次世界大戦中の欧州各国*)の利害関係や、軍中央(司令部)の役割や思考方法、作戦の立案から兵站に至るまで、非常に勉強になり、何度見返しても(読み直しても)、飽きることがありません。

*)もちろん、異世界のヨーロッパですので、国家や都市の名称は、『それとなく分かるように』変更されています。

 それと、魔法といえども、万能ではなく、通常兵器としての上限スペックがちゃんと設定されている、という点も好印象です。

 で、この作品を面白くしているのが、この主人公が、『全ての事象は「市場原理」で解決できる ―― 人間も利己的(打算的)な行動を取る対象として、市場原理に組み込むことができる』 ―― と信じる、いわゆる「新自由主義(=小さい政府)=シカゴ学派」の信奉者である、ということです。

 まあ、何でもそつなくこなすことのできるエリートには、「神なんぞ、特に必要がない」と思うのは自然なことなのかもしれません。

 ところが、近年(というか、2000年頃から)、人間は合理的な経済行動を取らない、むしろ、不合理の集合体であるということが分かってきて、今「行動経済学」という学問として、さまざまな分野への展開が行われています。

 というわけで、シカゴ学派の「人間も利己的(打算的)な行動を取る対象として、市場原理に組み込むことができる」というのは、間違いであったことになります。

 まあ、人間が市場原理の中で、合理的に振る舞う存在であったのであれば、そもそも、世界恐慌(1929年〜)も、リーマンショック(2008年〜)も発生していないはずです。

 というわけで、まあ、ターニャの基本理念である「新自由主義にもとづく市場原理」主義は、間違っていたのです。

 閑話休題。

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