ルネサス、ASIL Bに対応可能なPMICの量産を開始:車載カメラシステムなどの用途向け
ルネサス エレクトロニクスは、自動車用機能安全規格「ISO 26262」で定義された安全度水準「ASIL B」に対応可能なパワーマネジメントIC(PMIC)「RAA271082」を発売、量産を始めた。オートモーティブHDリンク(AHL)を用いた車載カメラシステムなどの用途に向ける。
AHLによるフルデジタルクラスタソリューションも用意
ルネサス エレクトロニクスは2022年11月、自動車用機能安全規格「ISO 26262」で定義された安全度水準「ASIL B」に対応可能なパワーマネジメントIC(PMIC)「RAA271082」を発売、量産を始めた。オートモーティブHDリンク(AHL)を用いた車載カメラシステムなどの用途に向ける。
RAA271082は、ISO 26262に準拠したプロセスで開発したマルチレール電源用IC。プライマリー高電圧同期整流型降圧レギュレーター1個、セカンダリー低電圧同期整流型降圧レギュレーター2個、低電圧LDOレギュレーター1個を、それぞれ内蔵している。
また、4個の過電圧/低電圧検出機能や電源投入時の内蔵セルフテスト機能、内部レジスターとI2C通信の連続CRC(巡回冗長検査)エラーチェック機能などを備えることで、ASIL Bに対応する。電源はバッテリーからの直接給電や同軸ケーブルによる供給に対応している。
この他、ウォッチドックタイマー機能やリセット機能、プログラマブルGPIOなどを集積しており、車載用マイコンと組み合わせることで、さまざまな車載カメラモジュールに対応できるという。
ルネサスは、RAA271082と4チャネルのAHLを用いたウィニング・コンビネーションとして「AHLによるフルデジタルクラスタソリューション」を開発した。これを用いると4個のカメラをAHLで接続しサラウンドビューモニターを実現できる。動作検証を済ませており、設計リスクの軽減や市場投入までの時間短縮が可能となる。
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